【攻撃的MF】


1位:マルコス・ジュニオール(横浜F・マリノス)

 文句のつけようがないパフォーマンスで、ここは誰が選者になっても外し難いのではないか。高い個人能力を備えながら、F・マリノスのポステコグルー監督が掲げる“アタッキング・フットボール”を早くから習得し、周りとのコンビネーションを意識してチャンスメーク、フィニッシュに絡んだ。チームのスタイルもあるが、誰と組んでも使い、使われるという関係をハイレベルに構築したことに加え、相手のマークが厳しくなっても黒子の役割をしてからゴール前に現れるなど、非常にサッカーIQの高い選手であることを示した。リーグやスタイルが合えば欧州の主要リーグでも十分に通用するタレントだが、Jリーグに来てくれたことに感謝したい。

2位:小野瀬康介(ガンバ大阪)

 苦しみながら最後は7位でフィニッシュしたガンバ大阪の2019年は、良くも悪くもパフォーマンスの振り幅が大きかった。その中で唯一と言っていいほどフルシーズンでパフォーマンスの浮き沈みがなく、途中から採用された3バックの右ウィングバックとしても高い機能性を見せたのが小野瀬康介だ。7得点4アシストという数字を記録したことも立派だが、左右のバランスを考えながら、時に守備でもチームを救うハードワークを見せるなど、選手・監督の投票で決まるJリーグ・アウォーズの優秀選手賞にノミネートすらされなかったことが不思議なぐらいのパフォーマンスだった。

3位:奥埜博亮(セレッソ大阪)

 シーズン途中から2トップの一角に定着したが、果たした役割からこのポジションで選出した。攻撃的なポジションで7得点2アシストという数字だけを見れば、さらに良い成績の選手はいくらでもいるが、“タクティカル・プレーヤー”としての貢献度はロティーナ監督のスタイルを前進させる上で計り知れず、彼の存在なくして新体制のセレッソ大阪が5位フィニッシュを果たすことはあり得なかっただろう。相手チームにとっては“神出鬼没”の選手だが、全体の配置に応じたポジショニングを意識しながら、タイミングよくスペースを使い、最後は味方がフィニッシュに使うスペースを空ける、守備でファーストプレッシャーをかけて高い位置のボール奪取を促すといった働きは素晴らしかった。チームの戦術は異なるが、数字に表れにくい献身的な働きを見せたという意味では、FC東京の躍進を支えた東慶悟の名前も挙げておきたい。

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FWは優勝の立役者となった快速アタッカー