こうした戦績を踏まえると、韓国との実力差は以前にも増して拡大しているようにも感じられる。Jリーグを見ても、安くて能力の高い韓国人助っ人があらゆるクラブを席巻。彼らは日本サッカーの特徴を熟知したうえで戦えるようになっている。18日の日韓戦で好プレーを見せたJリーグ経験者のキム・ヨングォン(G大阪)やナ・サンホ(FC東京)、キム・ジンス(元新潟)らは何をすれば日本の選手が一番嫌がるかをよく分かっていたし、実際にそういうプレーをピッチ上で遺憾なく示していた。その経験値も日韓の差を広げる一因になっているのかもしれない。

 海外組もソン・フンミン筆頭に、韓国には世界トップレベルを体感している選手が何人かいる。日本もかつては本田圭佑がACミラン、長友佑都がインテル、香川真司がマンチェスター・ユナイテッドなど強豪クラブに名を連ねる選手が複数いて、海外組レベルは日本の方が上といってもよかったが、今では状況が違ってきている。

 ここへきて、遅ればせながら南野拓実のリバプール入りが正式決定。ソン・フンミンと同じ土俵に立つ権利を手にしたところだが、彼がプレミアリーグで活躍して初めて韓国と対等な関係になれるのかもしれない。そういう意味でも、南野には日韓の差を埋めるけん引役になってもらいたい。

 日本も韓国も両国のライバル関係よりも世界を見据える時代になり、日韓戦の重要性は以前より薄れているのは確かだろう。それでも韓国に勝たなければ、アジアの盟主の座は永遠に手にできない。それもまた事実である。だからこそ、日韓戦でアッサリ負け続ける現状にどこかで歯止めをかけなければいけない。今回のE-1選手権の黒星を「単なる1つの経験」と受け流していたのでは、日本サッカーの進化はない。相手よりはるかに劣っていた球際の部分をまずは見直し、闘争心やタフさを前面に押し出すことの重要性を改めて認識するところから再出発してほしいものだ。(文・元川悦子)