維新は普通の「既成政党」になったようだった。

 しかし、2019年春の大阪府知事選と大阪市長選で、維新は両方を制し、同時に実施された大阪府議選で過半数を獲得。大阪市議選は過半数をわずかに下回ったものの、橋下氏が市長だった頃よりも多くの議席を得た。

 当初、維新がここまで大勝するとは予想できなかった。告示直前のある調査では、大阪市長選で自民党推薦の柳本顕氏が維新代表の松井氏を上回っているという情報もあったのだ。

 維新の大勝を受けて、維新が掲げる「大阪都構想」の是非を問う2度目の住民投票が2020年に実施されると見込まれている。2015年5月にあった前回の住民投票は、当時大阪市長だった橋下氏が前面に立ち、「反対多数なら政界を引退する」と訴えて戦った。その結果、橋下氏が好きか、嫌いかという「人気投票」になった側面が否定できない。

「都構想」については、維新が「二重行政を解消できる」と主張する一方、大阪市役所が解体されて複数の特別区役所に分割されることで、かえって役所のコストが増えてお金がかかるという側面もある。

 大阪市が直面している状況は、全国の政令指定都市に通じるものがある。大阪の読者だけでなく、広く地方自治や都市政策に関心のある方たちにも、本書が参考になればと思っている。(朝日新聞広島総局次長・左古将規)