残念ながら、ウイルスに効果のある特効薬は存在しません。

 ウイルスに「抗菌薬」は効かないため、水分や栄養補給を行いながら安静に過ごすのが主な治療法です。

 ただし、細菌や肺炎マイコプラズマなども原因となる場合や、ウイルス感染についで二次性の細菌感染を引き起こし、肺炎に至るケースは抗菌薬が必要になってきます。

「先生は風邪をひかないのですか?」

 外来診療をしているとよく聞かれる質問です。風邪をひいたなと感じることは、もちろんあります。睡眠不足が続いた時や食生活が乱れた時にそう感じることが多いように感じます。まさに、医者の不養生ですね。

 風邪予防の一つは、「睡眠」です。実際に、睡眠時間が短いと風邪をひきやすいという研究報告があります。カリフォルニア大学のPrather氏らは、5時間未満の睡眠または5~6時間の睡眠の人は夜間に7時間以上寝ている人と比較して、風邪をひくリスクが高かったことを報告しています。

 さらに、睡眠と成績に関する報告もありました。ワシントン大学のDunster氏らの報告によると、米国ワシントン州シアトルの2つの高校で授業開始時間を1時間ほど遅らせたところ、生徒の毎日の睡眠時間が34分間増え、眠気が減り成績が上がったというのです。

 睡眠は、体を休ませ体力を回復させることに繋がり、結果として免疫機能を高めてくれるのです。運動習慣や食事摂取も、とても大切。体力の低下や栄養不足も、免疫の低下に繋がります。

 二つ目は、「保湿」です。のどや鼻などの粘膜が乾燥すると、粘膜のバリア機能が弱くなり、免疫が働きにくくなります。すると、のどや鼻の粘膜からウイルスが侵入し、風邪を引き起こしやすくなってしまいます。

 マスクの着用は、のどや鼻の粘膜を覆うことができる簡単な保湿対策になります。こまめな水分補給を行って、脱水予防も大切です。

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こたつ、電気毛布、電気カーペットには要注意