●ステージ4 この段階以降が「腎不全」

 eGFRが29~15のステージ4は、腎機能が「高度低下」した段階であり、いわば「透析治療の一歩手前」、検討を始めるという状態です。一般的に、この段階以降が腎不全です。

 ここまでくると、むくみやだるさ、顔色の悪さ、吐き気などの症状に気づくようになり、ここで初めて受診、という人が多くみられます。

 ステージ3であらわれてきた、貧血、血中へのカリウムの蓄積、カルシウム・リン代謝の異常、血液の酸性化などがいっそうはっきりしてきます。

 血液濾過が滞り、尿がつくられなくなり尿量が減ってきます。一方で、尿素窒素やクレアチニンといった尿毒症性毒素の血液中の濃度がさらに高まってきます。

●ステージ5 尿毒症の影響大。人工透析や腎臓移植の準備を

 そしてeGFRが15未満のステージ5は、慢性腎臓病が最も進んだ状態であり「末期腎不全」と呼ばれます。尿量はさらに減って無尿(1日100ミリリットル以下)になるケースも出てきます。ここまで進むと、極度の腎機能の低下によって、排泄されるべき水分やさまざまな物質(尿毒素)が血液中にたまる尿毒症のリスクが高まります。

 尿毒症の影響は全身にあらわれます。赤血球の産生が抑えられ貧血が起こり、赤血球が運ぶ酸素が不足して心臓の負担を増やし心肥大や心不全を招きます。肺に水がたまり呼吸が苦しくなる肺水腫も起こります。

 尿素が増えすぎ、食欲不振や悪心、便秘・下痢、さらにはイライラや頭痛、無気力・倦怠感、意識障害、睡眠障害なども出ます。ほかにも出血・骨折しやすくなったり、皮膚炎やけいれん・しびれ感などが起こったりします。

 尿毒症は心不全などから命に関わる場合があり、一般的にはステージ5とされたころから、自分の腎臓の代わりになる腎代替療法として人工透析(血液透析・腹膜透析)や腎臓移植への準備を始めることになります。(取材・文/近藤昭彦)

※『週刊朝日MOOK 「このままだと人工透析です」と言われたら読む腎臓病の本』から抜粋

【監修】
東京都済生会中央病院副院長・腎臓内科部長 竜崎崇和医師