12日午前7時40分、慢性腎不全のため神奈川県内の病院で亡くなった俳優の梅宮辰夫さん(享年81)。昨年9月に前立腺がん、今年1月に尿管がんの手術を受け、週3回の透析治療を受けていた。
梅宮さんを襲った慢性腎臓病は、腎臓(糸球体)がどれだけ血液を濾過できているかを示す検査値である「eGFR(推算糸球体濾過量)」の数値によって、ステージ1から5まで大きく5段階に分けられる。
各ステージによってどんなリスクがあるのか。週刊朝日ムック『「このままだと人工透析です」と言われたら読む腎臓病の本』から紹介する。
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●ステージ1~2 自覚症状なし
ステージ1は、eGFRが90ミリリットル/分/1.73平方メートル(以下、単位略)以上であり、「尿たんぱく陽性」などで慢性腎臓病と診断されるものの、腎機能は「正常」の範囲内という段階です。ステージ2はeGFRが89~60で、腎機能の「軽度低下」がみられますが、自覚症状はほとんどありません。
これらの段階では、塩分やたんぱく質の摂取量も制限されますが、カリウムについては、まだとくに制限はありません。
●ステージ3 症状の悪化が加速。食事でのカリウム制限が始まる
eGFRが60未満(59~30)になるとステージ3となり、腎機能が「軽度~高度低下」しているとみなされます。
末期腎不全まで自覚症状がなかった、というケースは珍しくありませんが、このステージ3まで進むと、むくみやだるさなどがあらわれる人もいます。
血液検査ではクレアチニンや尿素窒素(BUN)といった老廃物の濃度が高まってきます。これらは尿毒症(後述)の原因になることから尿毒症性毒素と呼ばれます。
赤血球の産生が妨げられ貧血がみられるようになってきます。血液の酸性・アルカリ性のバランスが崩れ、血液pHは酸性を示すようになります。
血液中のカリウムの濃度が上昇し、食事でのカリウムの制限が始まります。通常、排泄されるはずのカリウムが、腎機能の低下に伴い、排泄されずに血液中に蓄積されるからです。これは高カリウム血症と呼ばれ、手足のしびれを起こすほか、不整脈から突然死に至る恐れもあります。
また、腎臓にはビタミンDを活性化させてカルシウムの吸収を促す働きがあります。カルシウムの代謝にはリンが必要ですが、腎機能低下により、リンが排泄されずに体内に残り、カルシウムとのバランスが崩れていきます。