年をとるほど血管の老化、すなわち動脈硬化が進むことは避けられず、「血管の集まり」ともいわれる糸球体の働きを低下させます。

 また、腎臓そのものの病気で糸球体などが障害を受けると、血液濾過や、その後の、有用な成分の再吸収の働きなどの妨げになります。

 一方、肥満やメタボは、それだけでも血管の負担を増加させ、腎機能を低下させます。そのうえ生活習慣病の引き金になります。生活習慣病のうち、高血圧による腎硬化症、糖尿病による糖尿病性腎症が慢性腎臓病の原因になります。

 このほか生活習慣病関連では、中性脂肪値やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が高い脂質異常が続くと、動脈硬化が進みやすくなって腎臓の働きの妨げとなります。尿酸値が高い高尿酸血症も慢性腎臓病の危険因子となります。

 一方、腎臓そのものの病気では、糸球体の炎症である慢性糸球体腎炎が慢性腎臓病につながります。

 これらの病気が長年続くことで、徐々に腎機能が失われ、やがて人工透析や腎移植といった腎代替療法が必要になります。それにとどまらず心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気のリスクも高まります。

 人工透析を始めた原因で最も多いのは、糖尿病性腎症(42.5パーセント)であり、次いで慢性糸球体腎炎(16.3パーセント)、腎硬化症(14.7パーセント)となっています。これらによる慢性腎臓病には、とくに注意が必要ということです(※数値は日本透析医学会ホームページから)。

(取材・文/近藤昭彦)

※『週刊朝日MOOK 「このままだと人工透析です」と言われたら読む腎臓病の本』から抜粋

【監修】
東京都済生会中央病院副院長・腎臓内科部長 竜崎崇和医師