巨人の岩隈久志 (C)朝日新聞社
巨人の岩隈久志 (C)朝日新聞社

 このオフ、秋山翔吾は海外FAで、筒香嘉智と菊池涼介はポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指すこととなったが、その一方でメジャーから日本に復帰する選手もいる。日本を代表するアンダースローとして知られる牧田和久(前パドレス)だ。一昨年のオフにポスティングシステムを利用して西武からパドレスに移籍。しかし1年目は27試合に登板したものの防御率は5.40打ち込まれるシーンが目立ち、今年は一度もメジャーに昇格することなくシーズンを終えた。

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 それでも日本での実績が高く評価され、古巣の西武、阪神などが獲得に乗り出した結果、楽天への入団が決まった。そして話題となったのが2年総額4億円(推定)と言われる契約内容だ。牧田の西武時代の最高年俸が1億円だったことと、メジャーで結果を残せなかったことを考えると、破格の条件と言える。果たして牧田はその期待に応えることができるのか。過去にアメリカから日本球界に復帰した選手の例を挙げながら探ってみたいと思う。

 過去5年間でアメリカから日本球界に復帰した投手と、その復帰1年目の成績をまとめてみると以下のようになった。

・松坂大輔(ソフトバンク・2015年復帰)
一軍登板なし

・黒田博樹(広島・2015年復帰)
26試合 11勝8敗0セーブ0ホールド 防御率2.55

・藤川球児(阪神・2016年復帰)
43試合 5勝6敗3セーブ10ホールド 防御率4.60

・和田毅(ソフトバンク・2016年復帰)
24試合 15勝5敗0セーブ0ホールド 防御率3.04

・村田透(日本ハム・2017年復帰)
15試合 1勝2敗0セーブ0ホールド 防御率2.77

・上原浩治(巨人・2018年復帰)
36試合 0勝5敗0セーブ14ホールド 防御率3.63

・岩隈久志(巨人・2019年復帰)
一軍登板なし

 期待通りの活躍を見せているのが黒田と和田だ。安定した投球でともに二桁勝利をマークし、和田にいたっては最多勝まで獲得している。球団にとっても非常に大きな戦力となったことは間違いない。また藤川は復帰初年度こそ防御率4点台と苦しんだものの、その後は徐々に持ち味であるストレートの勢いを取り戻し、復帰4年目の今シーズンは16セーブ、23ホールド、防御率1.77という非の打ち所がない成績を残している。しかしその一方で松坂と岩隈の二人は一軍で登板することもできていない。特に松坂は3年12億円(推定)と言われる大型契約だっただけにマスコミからの批判も多かった。また日本、アメリカでの実績は抜群だった上原も故障もあって期待されたような成績を残せていない。過去の事例からだけで判断すると、成功確率は5割程度と考えた方が良いだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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復帰1年目に苦しんだ投手には“共通点”