智弁和歌山の細川凌平(左)と明石商の来田涼斗(右)(C)朝日新聞社
智弁和歌山の細川凌平(左)と明石商の来田涼斗(右)(C)朝日新聞社

 高校生の野手でドラフト1位となる選手をポジション、タイプ別に見てみると、最も多いのは三拍子揃ったショートになる。過去10年を振り返っても高橋周平(中日)、根尾昂(中日)、小園海斗(広島)が複数球団による1位競合となり、今年のドラフトでも森敬斗(桐蔭学園→DeNA)が単独1位となった。次に多いのがスラッガータイプの内野手。同じく過去10年では清宮幸太郎(日本ハム)、石川昂弥(東邦→中日)が1位競合となり、岡本和真巨人)も最初の入札で単独1位指名を受けている。

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 続くのが森友哉(西武)、中村奨成(広島)の超高校級捕手であり、そして最も目玉が少ないのが外野手である。過去10年間で最初の入札で1位指名となったのは藤原恭大(ロッテ)だけであり、後藤駿太(オリックス)、川上竜平(ヤクルト)、高橋大樹(広島)、オコエ瑠偉(楽天)などはいずれも最初の入札で外した結果の1位指名となっている。

 日本の少年野球では能力の高い選手が投手をやることが圧倒的に多く、次にはショート、もしくはタイプによってはキャッチャーというケースが多い。そしてカテゴリーが上がるにつれて投手やショートから溢れた選手が外野という流れが出来上がっているのだ。そのことがこのドラフト指名結果の一因になっていると言えるだろう。またプロ側も内野がダメなら外野でと考えることはあっても、その逆のケースは圧倒的に少ない。現在、名実ともに日本でナンバーワンの外野手である鈴木誠也(広島)も高校では投手とショートを主に任せられていた。

 しかし来年のドラフト候補となる高校生野手を見てみると、一人の外野手が筆頭候補に挙がってくる。それが来田涼斗(明石商)だ。小学生の頃にはオリックスのジュニアチームに選ばれ、高校進学時には多くの高校が争奪戦を繰り広げた逸材で、明石商でも入学直後から不動のトップバッターとして活躍している。来田の名が全国に轟いたのは今年春の選抜だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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来季ドラフトでは高校生外野手が1位指名?