スポーツドクターの教育カリキュラムの中には、女性医学の内容が含まれており、スポーツドクターはみな女性特有の事情やコンディショニングの適切な方法をよく理解しています。女性アスリートのみなさんは、身近に相談できるスポーツドクターがいると心強いでしょう。

 日本スポーツ協会のホームページでは、「公認スポーツドクター」を都道府県やスポーツ種目、診療科目で検索することができます。各地域の、婦人科を専門にするスポーツドクターが検索できますので、参考にしてください。

 なお、女性のスポーツドクターの中には、たとえ元の専門が整形外科だとしても、女性の諸問題を熟知している人がたくさんいます。思春期の女子選手の場合には、例えば生理の悩みなどは「男性のドクターには恥ずかしくて話ができない」という子も多いため、女性スポーツドクターのほうが適しているでしょう。日本サッカー協会でも、女子のなでしこリーグの10代以下のアンダーカテゴリーには、おもに女性のスポーツドクターが帯同しています。その他のスポーツ種目においても、いまでは女性スポーツドクターを求める要望が多く、チームへの帯同など活躍の場が広がっています。

 女性のスポーツドクターは現状では全体のうちいったいどれくらいいるでしょうか? その数は間違いなく増加の傾向にありますが、日本臨床スポーツ医学会に登録されたスポーツドクターを見ると、その割合はまだ8%ほどにとどまっています。今後、社会のニーズに応えて、女性スポーツドクターの数はますます増えていくでしょう。

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松本秀男

松本秀男

松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長。

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