そんな周囲にいる大人たちの“寛容”な姿勢もあってか、光次郎は試合中にエンゼルスの女性部員のお尻を触り、外野に隠し持っていたビールを飲むなど、やりたい放題。そんな自由気ままな振る舞いの傍ら、試合の最終回に一打逆転の好機に打席が回ってくると、「熱血少年マンガ」っぽい展開になったと自ら言ってしまうほど自身を“客観視”できている場面もあった。

 その後、準決勝では小学生だけで結成した「台場ダーティドラゴンズ」と対戦。野茂英雄のトルネード投法、村田兆治のマサカリ投法をミックスした「ドラゴンフライ」を必殺技に持つ間崎竜(かんざき・りゅう)との激闘は読者を圧倒した。また、一八の父の投球によって失明となった叔父にさらわれた双子の弟・二三八(ふみや)というキャラが突然登場したりと、最後まで読者をハラハラさせる展開が続いた。

 その後のストーリーがどうなるものか非常に気になるところだったが、残念ながら打ち切りとなってしまったようで、全9巻で終了となった。同作品は基本的には普通の少年野球漫画ではあるのだが、時折力任せの“高橋陽一イズム”が含まれており、読者を飽きさせない。ぜひ、シーズンオフで野球が恋しくなるこの時期に読んでみるのはいかがだろうか。