2次予選初戦・ミャンマー戦直前に行われた9月5日のパラグアイ戦はアクセスの悪いカシマスタジアムでの平日夜開催ということもあったが、2万9071人と3万人を割ってしまった。日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「代表チームがヤンゴンにすぐ移動できるように鹿嶋開催を選んだ」と説明していたが、ここまでスタンドが閑散としていたのは近年稀に見る出来事だった。

「本田圭佑や長谷部誠、香川真司といったロシアまでのスター選手が揃って代表から去り、『本田ロス』『長谷部ロス』『香川ロス』と言われるように、今は目玉選手がいない。ここまでスターらしいスターがいないのは、93年にJリーグが発足してから初めてと言ってもいいかもしれない。期待の18歳・久保建英もA代表ではまだ出番がほとんどなく、所属のマジョルカでのインパクトも今一つ。他にお客を呼べる選手がいないとなると、森保ジャパンの不人気に拍車がかかるのもやむを得ない」と長年、日本代表に携わる関係者も頭を抱えている。

 加えて、森保監督のスター性不足を指摘する声も上がっている。93年10月28日の『ドーハの悲劇』を経験したレジェンドであり、指揮官に転じてからはサンフレッチェ広島を3度もJリーグ優勝に導いた彼は、非常に真面目で人当たりがよく、周囲の信頼も厚い。森保批判をする関係者はまずいないという。しかしながら、「発言が地味すぎて面白味に欠ける」「内容も(現役時代のポジションである)ボランチらしく守りの姿勢でリスクを回避する」といった意見も聞こえてくる。

 指揮官自身もそのことを自覚しているのか、しばしば記者会見で「面白いことを言えなくてすみません」と苦笑いしながら自ら詫びることもあるが、歯に衣着せぬ発言でズバリ指摘してきたトルシエやハリルホジッチに比べると物足りなく、ジーコやザッケローニ、岡田武史やオシムのような存在感も乏しい。また、日本代表の非公開練習の多さ、選手取材対応日の少なさも相まって「強く、魅力ある代表」を発信できていない点も問題ではないだろうか。

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久保のブレイク頼みなのか