「ファウルで粘られたら変化球を投げようと思ってたんですけど、その前に終わっちゃったんでアレ?って。最後も、もう1球投げてファウルとかだったら(フォークボールで)落とそうかなって思ってたんで、結果的にああなったんです」

 最速は138キロだったが、その中でしっかりと手ごたえをつかんでいた。

「スピードうんぬんよりも、球のキレがどのぐらい戻ったかっていうのを見たかったっていうのがありましたね。完全な状態ではなかったですけど、確実に戻ってきてるっていうか、ボールの質自体は良くなってるなって思いました。最後も(打者が)真っすぐを待ってて、振り遅れてファウルフライだったんで、ボールのスピンとか軌道は良くなってるのかなって」

 そのトライアウトから2週間。正式にABLでのプレーが決まり、今は来月の渡豪に向けて日々トレーニングに励んでいる。

「ほぼ現役と変わらないぐらい毎日やってます。もう(ABLでのプレーが)始まるんで、僕はオフじゃないですから(笑)。状態自体はトライアウトの時よりもさらに良くなってますし、痛みもなく投げれてるんで、やっと普通の状態まで戻ってきたかなっていう感じです。これからオーストラリアに行くんで、徐々に状態を上げていろんなところにアピールできたらなと思います」

 本拠地をニュージーランドに置くオークランド・トゥアタラは、ABL初の国外球団として2018年に誕生したばかり。昨年はロッテが種市篤暉、平沢大河らを派遣し、現在は元DeNA、ソフトバンクの北方悠誠も所属している。リーグ自体は既に開幕していて、村中はそこに12月初旬から合流する予定だというが、レギュラーシーズンは1月で終わるため、来春以降の所属先も視野に入れながらプレーをしていくことになる。

「独立(リーグ)もそうですけど、また海外に行くかもしれませんし……。とにかく来年1年は野球がやりたいなって思ってるんで、とりあえずは来年のことだけ考えてやろうかなと。正直、辞めるのは簡単だと思うんですよ。続けるほうが辛いと思うんです、挑戦するっていう部分では。辞めた方が絶対に楽だと思うんですけど、この先、僕も指導とかしたいっていう夢もあるんで、そういう部分でもいい経験にはなると思ってます」

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「あの頃を思い出しながらやろうと思います」