今季は独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスに所属した西岡剛 (C)朝日新聞社
今季は独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスに所属した西岡剛 (C)朝日新聞社

 西岡剛の目線は、すでに“次”へ向けられていた。

「無事トライアウトも終わりました。栃木から応援に来て頂いた方、シーズン中、何度も関西から栃木に駆けつけてくれた方、知っている顔ぶれの方がスタンドいっぱいいて嬉しかったです」

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 自身のインスタグラムにファンに対する感謝の言葉を綴り、それとともに、アスファルトの割れ目を突き破って生える雑草の写真を掲載した。「最大2回」との規定ができたためにトライアウト受験は今年が最後。現状、NPB復帰の可能性は低いが、それでも今後の「挑戦継続」を力強く宣言した文面であり、写真だった。

 彼が歩んできた道のりは、エリート街道であり、波乱万丈でもある。大阪桐蔭高では4番主将として甲子園に出場。2002年秋のドラフト会議でロッテから1巡目指名を受けてプロ入りすると、高卒2年目の途中から頭角を現し、3年目の2005年には盗塁王を獲得。その05年と2010年にロッテで日本一を経験したのに加え、日本代表として2006年のWBC、2008年の北京五輪に出場。2011年からはメジャーに挑戦し、2013年からは阪神の主力として活躍した。

 11月12日に行われた今年のトライアウト参加組の中でも、知名度は群を抜き、注目度の高さはナンバーワン。その日の打席では4打数ノーヒットとアピールすることはできず。そこから約2週間が経過した段階でも「NPB入り決定」の知らせは届いておらず、来季もBCリーグ・栃木でのプレー続行が濃厚だ。

 西岡はその栃木で今季、前期26試合に出場して打率.370、6本塁打、26打点、7盗塁。後期は59試合に出場して打率.339、7本塁打、41打点、7盗塁をマーク。プレーオフでも6試合で打率.300、1本塁打、5打点と活躍して、球団初の地区優勝&リーグ優勝に貢献した。そして場所は変われども、これまでと変わらぬ姿勢で野球に取り組み、若い選手たちとともに汗を流した。

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波乱万丈の野球人生