――今まで名前が挙がったような選手を見てきたご経験から、奥川投手がプロで成功するために重要なポイントはどういったことになりますか?

八重樫:まずはフォームをいじらないこと。ピッチャーだとすぐこうした方がいいっていじるコーチがいるけど、まずは今までの投げ方でやらせることが大事ですね。本人も色々言われるけど全部真に受けていたらおかしくなりますよ。そういう意味でカズ(石井一久)なんかは良かったんでしょうね。

――そうなると首脳陣側の指導がやはり大事になりそうですね。

八重樫:チームとしてしっかり対策をすることは必要ですね。注目される選手だと、コーチがいじらないようにしていても、OBや評論家が色々口を出してくるんですよ。普段グラウンドに顔を出さないのに教えたがる“教え魔”が特に危ないですね(笑)。
 そういう人が来た時に、直接あれこれ言わないように現場のコーチが上手く間に入れればいいんですけど。若いコーチが多いとそういう点は心配になりますね。なかなか年上のOBには強く言いづらいですから。

――ルーキーの場合は一軍というよりも二軍の首脳陣も大事になりますね。

八重樫:どういう選手なのか、どこが良いのかなどを二軍のコーチはスカウトや編成とコミュニケーションをとってしっかり聞かないといけないですよね。そういうことを怠ると、何も考えずにいじって壊してしまうことになる。
 さっきも言いましたけど、まずフォームはいじらずにやらせてみる。あとは最初は失敗しても我慢して使う。そうやってまずは二軍で経験させていって、体力がついたころに一軍で使うようにしてもらいたいですね

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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