中京大中京の高橋宏斗 (C)朝日新聞社
中京大中京の高橋宏斗 (C)朝日新聞社

 来春の選抜の前哨戦ともいえる明治神宮大会高校の部は中京大中京(愛知)の初優勝で幕を閉じた。そんな今大会で目立った来年のドラフト候補になりそうな、高校2年生について今回はレポートする。

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 今大会に出場した選手の中で、最もプロのスカウト陣の注目を集めた選手となると、高橋宏斗(中京大中京・投手)になるだろう。初戦の明徳義塾戦では7回を投げて被安打4、毎回の10奪三振をマークして完封。準決勝こそ2本のホームランを浴びて3点を失ったものの、決勝の健大高崎戦では4回を投げてノーヒットピッチングという見事なリリーフを見せて試合を締めた。

 ストレートの最速は148キロをマークし、腕を振って速いボールを打者の胸元に投げられるというのが大きな長所。少し軸足の膝が割れるのが早いのは気になるが、上手く上半身の力を抜いて楽に強く腕を振ることができており、この1年間で制球力も格段に向上した。長いイニングを投げても球威の落ちないスタミナ、ここ一番の勝負所でギアを上げられる点なども素晴らしい。選抜でも最注目の選手の一人と言えるだろう。

 投手では他にはすぐプロという感じの選手は見当たらなかったが、将来的に面白い感じたのが下慎之介(健大高崎)と片山楽生(白樺学園)の二人だ。下は182cmの大型サウスポーで、スリークォーター気味の腕の振りから投げ込むボールの角度が持ち味。大きいカーブと打者の手元で変化するスライダーを上手くコーナーに集め、緩急を使うことができる。初戦の倉敷商戦では延長10回を投げて被安打5、1失点(自責点は0)、11奪三振という見事なピッチングを見せた。今大会での最速は138キロだったが、もう少しスピードが上がってくれば十分に上を狙える素材である。

 片山は左肩が開かずに、スムーズに速く体重移動できるフォームの良さが光る右腕。今大会の最速は137キロだったが、数字以上にストレートが速く見え、しっかりとコーナーに投げ分けることができる。フォームが良いだけに、体ができてくればスピードアップも期待できるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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