「この前、クラブで飲んでいて、ママと話をしていたら、最近、売り上げが落ちてきたと。お客さんも減っている。なので、お客さんが来なさそうなら、閉店時間よりも早く閉めたりもしていると。もちろん、女の子の給料もあるし、都合はあると思います。ただ、営業時間はお客さんとの約束やから。『この時間まではやってる』とお店が打ち出してるのに、客がいないから閉めるというのはアカン。約束破ってるわけやん。その時間までは開いてると思って得意先を連れてくる人もいるやろし、見えないところでいろいろなものを失ってしまっていることに気づかなアカンねん」

 コワモテにも見えるが、個人的な印象としては非常に常識人で、話もしやすい。それでいて、揺るがぬ自分を持っている。自ずと聞き入ってしまうわけだ。

 さらに、特殊な見方かもしれないが、せいじのインタビューは原稿を書くのが極めて楽。というのは、話がまとまっていて、それでいて、そこにしっかりと主張が入っている。なので、こちらが分かりやすく文章を補正することがなく、しゃべっているそのまま文字にすれば、良い原稿が出来上がる仕組みだ。そんな明快さも、実際に会って話すと魅力に感じるポイントだと考えている。

 隠さない。そして、モテる。この構図が続く限り、また第三の記事が出ることも勝手ながら危惧するが、芸人にすら画一的なものを当てはめがちな世の中で、せいじがどんな自分を貫いていくのか。それを見てみたい気もする。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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