人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組みを「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」といいます。厚生労働省は昨年、その愛称を「人生会議」と決め、「いいみとり」の語呂から、11月30日を、ACPについて考える「人生会議の日」に決定。ACPの普及・啓発を進めようとした矢先、お笑い芸人の小籔千豊さんを起用したPRポスターが批判を浴び、発送中止になる騒動も起きました。好評発売中の週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2020年版』では、介護福祉士、ケアマネジャー、看護師の3人にそれぞれの立場でACPについて語り合ってもらいました。

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【ACPとは?】
 命の危険が迫った状態になると、約70%の方が医療・ケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えたりすることができなくなるといわれています。自らが望む人生の最終段階における医療・ケアについて、前もって考え、医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い共有する取り組みを「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と呼びます。

看護師◯東久留米白十字訪問看護ステーション所長・中島朋子さん

ケアマネジャー◯国際医療福祉大学大学院教授・石山麗子さん

介護福祉士◯日本介護福祉士会会長・石本淳也さん

──それぞれの在宅の患者とのかかわりと、ACPをどのように受け止めているかについてお聞かせください。

ケアマネジャー・石山麗子(以下、石山):私は約15年、在宅の方のケアマネジメントを担当してきました。現場を離れ、厚生労働省の介護支援専門官を経て、いまは大学院で教えています。

 人生の最終段階の医療・ケアについて前もって話し合いをしていくというACPは、自然なことだと思います。そのときが来たら急に考えるようなものではなく、自分の今後の生活をどうするかということと照らし合わせて考えることです。病院のなかの医療だけととらえず、在宅を含めて、普通の暮らしをどうしたいかを考えていければ、より身近なものになっていくと思います。

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「人生会議」を理解してもらうための工夫が必要