恋に発展するのか? 鈴木京香 (C)朝日新聞社
恋に発展するのか? 鈴木京香 (C)朝日新聞社

 この記事がアップされた前日、「グランメゾン東京」(TBS系)の5話が放送されたはずだ。だが締め切りの関係で、4話まで見てこの記事を書いている。

【写真】鈴木京香「気品オーラ」の裏にある“秘密”とは?

 
 早見倫子は、5話でどうなったか。気が気でならない。そう、フレンチレストラン・グランメゾン東京のオーナーシェフ。鈴木京香さんが演じている。予告編によれば、早見はどうやら厨房で倒れたようだ。たぶん、過労だろう。体調も心配だが、もっと心配なのは、木村拓哉さん演じるパリ帰りのいわく付きシェフ・尾花夏樹が「倫子―!」と叫んでいたことだ。
 
 ま、まずい。下の名前で呼び捨て。4話までは、そんなふうに呼んでなかったのに。いきなり近い感じ。えー、そうなのー?

 神様、どうか「グランメゾン東京」を恋愛ドラマにしないでください。
 面白いドラマなのだ。面白くしている一番の理由は、鈴木京香さんの堂々たる演技だと思う。鈴木さんは化粧品のCMに出ずっぱりの美人女優だ。だけど「グランメゾン東京」を見ていると、年齢を重ねたシワなどもあって、それがとてもよい。シワにふさわしい堂々っぷりで、回を追うごとに早見という女性を好きになる。覚悟の決め方、トップとしての振る舞い。とてもよい。

 このドラマの秀逸なところは、「料理人」という仕事軸で主人公と相手役がぶれていないところだと思う。木村さん主演だと、どうしても恋愛フレーバーが入りがちだ。その点、これはレストランを開業し、三ツ星を取る。その目標に向けて、人を集め、メニューを開発し、作り、経営する。そこに収斂している。ベリーグッド。

■木村拓哉という存在にひるんでない

 私が注目しているのは、早見が尾花を「あんた」と呼ぶことだ。

 例えば3話では尾花と早見が食材を求め、伝説のジビエ猟師を訪ねる。すると頑固な職人気質の猟師で、2人は追い返されてしまう。だが、いろいろを経て、再度、訪問する。早見が尾花にこう言う。

 「ほら、まずはあんたが頭を下げてよ」。そして尾花の頭をグイッと押さえる。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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