そのためには「陰で努力しない」ことです。手柄は手柄として理解されるように、「表に出す」出す必要があるのです。一番大事な評価者にはもちろん、その周りにも


「自分が始めて、そしてできたことだ」と手柄になる過程を全て公開してシェアすることです。

 成果が出たあとで手柄として公表したら嫌な奴になりかねませんが、最初からさりげなく「自分がやっています」とアピールすることは無理がありません。自分の貢献状況をみなにシェアするのは、早ければ早いほど自然です。

 具体的な方法としては、「今、こんなことをしているんですよ」「自分なりにこんな工夫を考えています」などと、ニコニコと自然に頑張りを周囲に伝えていくことです。アピールというと出しゃばっているイメージがあり、やりにくいかもしれませんが、こうした方法なら、謙虚な人でもしやすいはずです。

 せっかく仕事を引き受けたのに、隠れて努力をしたために手柄をとられて、モヤモヤを抱えながらそれでも笑顔でいるなんて、あまりに悔しいことです。

 あなたの努力が理解されれば、評価につながり大きなチャンスが与えられる可能性もありますし、何より最終的に気分が悪くなることはありません。

 苦しい思いを抱えながらも、ニコニコとできるのは最強の武器です。それをアピールに活かしましょう。

 努力は見せないと意味がありません。繰り返しますが、「陰で努力しても誰かが見てくれている」というのは、あなたを利用しようとしている人が、言い訳としてあなたにすり込もうとしているだけです。

 努力を表に見せるということを「格好悪い」などと卑下しないことです。見せていないとずるい人に利用されてしまうだけです。

 お人よしはもうやめましょう。あとで後悔します。最終的に利用されて、苦しくなっているのが何よりの証拠です。

「役に立つ」という考え方ももちろん大事ですが、それはあなたの評価を上げるためにやることです。利用されるためにやるべきことではありません。あなたの遠慮がちな姿勢は搾取側から見たら蜜の味ですよ。

 今の自分に自信がないとのことですが、周りと比べる必要はありません。自信はあった方がいいですがあり過ぎても問題です。

 何事も淡々と安定してこなしていくこと、それが大切です。すると、振り返れば意外に大きな実績を積み上げていて、それが自信の根拠になってきます。自信そのものを考える暇があれば目の前のことに集中する方がいいでしょう。

 目の前の仕事をアピールしながら懸命に頑張っていたら、「自信がない」などと考える暇もなくなります。取り組んだことは全力でやるしかないのです。

 オドオドしたり、もちろんふんぞり返ったりする暇はありません。泣いても笑っても全力でやるべきことをやっていれば、それなりに結果が出ます。

「自信がない」と考えている瞬間は、たいてい手が緩んでいるものです。

「やるしかない」、そういう気持ちでアピールを忘れずに全力で向かう、その姿勢が評価はもちろん、根拠ある自信形成にもつながります。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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