「実際、深夜のバトルラップ番組として人気を博している『フリースタイルダンジョン』は女性からの人気も高いんです。男たちの熱いバトルと友情というホモソーシャルな世界観は、2.5次元系の鉄板ネタですしね。本作には、サイプレス上野やラッパ我リヤなど有名ラッパーが楽曲提供をしており、日本ヒップホップのレジェンドであるZeebraさんがプロデュースした作品もあります。最近だと、若手の人気ヒップホップユニット、Creepy Nutsが楽曲を提供したことでも話題となりました。特に声優さんは言葉のプロなので、昔から歌手活動をする人も多い。再現性が高いので、ラッパーの癖や節回しなんかも上手く演じられる。かなり聞きやすて、かっこよく作られています」(同)

■「ドラえもん」ジャイアンの声優も出演

 実際のミュージシャンたちがイケメン声優たちにラップの指導にあたり、その本格さが人気を博したというわけだ。今回の舞台化にあたっては、すでに2.5次元で有名な俳優たちが出演するというよりも、これから期待の役者陣が多く登場するようだ。

 「メインキャストのひとり、山田一郎を演じる高野洸さんなどは、もともと子役で活躍しており、『刀剣乱舞』にも出演していました。ダンス・ボーカルユニットのDeram5の元メンバーでもあったので知名度も高く、注目株として人気ですね」(同)

 エンタメウォッチャーの中村裕一氏は2.5次元や「ヒプマイ」についてこう分析する。

「一般的にあまり馴染みのないムーブメントだと思われがちですが、『ヒプマイ』の中心人物である木村昴は、29歳ながら国民的人気アニメ『ドラえもん』のジャイアンの声を14歳の時から15年も担当している実力派ベテラン声優です。若い世代を中心に、自分を表現する場所、働く場所があるのはエンタメ界にとっても非常に有益なこと。なにより10代、20代女性の支持が絶大なので、新たなヒットを生み出す爆発的なパワーを秘めていることは間違いありません。ただ、まだ立ち上がったばかりのジャンルなので、将来の展開も含め、さまざまな要素が未知数であることは否めません。結局のところ、観客動員や売り上げなどの数字を気にしているのはメディアなどの外野ばかり。当事者である出演者やファンはそんな周囲の雑音など気にせず、これからも大いに盛り上がってほしいですね」

 今月から始まるこの舞台の盛り上がりに注目したい。(今市新之助)