最近、生命寿命、健康寿命、資産寿命に加えて、第4の寿命を長くすることが大事だといわれている。第4の寿命とは、生涯現役、生涯学び続けるなどの意欲を失わず、心楽しい人間関係をもキープし続ける「つながり寿命」。

 これを長くするのも短くするのも、自分次第。定年後、自分の居場所をつくれるかどうかは努力次第だ。ここでは、大人の振る舞いについての指南書で定評がある作家の菅原圭さんが、自著『ほどよい“居場所”のつくりかた――60歳からの人づきあいの知恵』でも紹介した、つながり寿命を縮めかねない悪いクセを紹介する。

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 今日も1日が終わった。

 夜、床につくとき、心から「ああ、いい1日だった」といえるだろうか。

 私の場合は、必ずしもそんな日ばかりとはいい切れない。仕事をし、あるいは「下手の横好き」を地でいく英語と格闘した日も、充実感は味わいながら、どこかにうっすらとさびしさ、ものたりなさを感じている。

「ひとり暮らし」のこのうえない自由を満喫しながら、人とのつながりが希薄だった1日は、何か大事なものが足りない、という気持ちを抑えきれないのだ。

「最近、年賀状の数がめっきり減ってきた」と感じることはないだろうか。私など、ピーク時から半分近くまで減ってきている。故人になった人もあれば、メールの賀状に換えた人もいる。だが、総体的に、人とのつながりが細ってきていることが大きな要因であることは否定できない。

 シニア期の大きな課題はあらためての人間関係づくりだ。私自身、シニア期を意識して、ここ2、3年は「友だちづくり」と格闘してきた。だが、そう簡単にはいかず、正直、人間関係はなかなか広がらない。

 結局は、学生時代からの友だちとご飯を食べたり、かつての仕事仲間と集まってビールでも飲む、そんな日々を重ねている。

 こうした自分自身の苦戦もあって、まわりのシニアで人づきあいのうまい人をそれとなく観察しているうちに、人づきあいのうまい人に共通するいくつかの共通点があることに気がついた。

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人づきあいがうまいか下手か。その違いをひと言でいうと…