後半戦のフェルスタッペンは凡ミスが多い。特に序盤での接触が多く、今回はポールボジションも失った。結果、71周のレースのうち66周をハードタイヤで乗り切りレースペースも悪くなかった。単純な速さで言えば今回一番速かったのはフェルスタッペンだろう。それを活かせない焦りが、さらなる焦りを呼んでいるのだろうか。

 22歳と若いが、F1参戦6年目であり99戦目の経験豊富なドライバーだ。ワールドチャンピオンにもなれる器を持っている。次は昨年、16台抜きで2位表彰台に登ったアメリカGP。レッドブル・ホンダの相性も良いサーキットだけに、経験を活かして結果に繋げてほしい。

 もう一人のレッドブル・ホンダのドライバー、アレクサンダー・アルボンもタイヤ戦略で順位を上げることができなかった。ミディアム・ミディアム・ハードの2ストップ作戦をとり、1ストップ組に対して20秒近くのタイムを失ってしまった。だが、4位のルクレールとは15秒差、優勝したメルセデスのルイス・ハミルトンとは約21秒差。もし1ストップなら日本人以外のアジア人ドライバーとして初の表彰台も見えていた。いつもフリー走行でマシンを壊してしまうのはいただけないが、ポテンシャルは確実に開花しつつある。

 トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは体調不良と2ストップ作戦に苦しみながらも9位入賞を果たした。メキシコGPではウィルス性胃腸炎が蔓延し、100人以上の関係者が腹痛を訴える事態となっていた。1992年には片山右京が同じように体調不良に苦しみ、嘔吐しながら完走したこともあった。ガスリーは体調について聞かれると「知らない方がいいと思うよ」と苦笑いするも「コックピットに入ればアドレナリンが出て気にならない」と答えた。

 窮屈な走りをしていたレッドブル時代とは違い、やはり「ラテンのノリ」のイタリアンチーム・トロロッソが水にあっているのだろうか。メキシコの水にはやられてしまったが。

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久々に“やらかし”が出た