中日の与田剛監督 (c)朝日新聞社
中日の与田剛監督 (c)朝日新聞社

 長く険しいペナントレースを終え、令和元年におけるセ・パ両リーグの順位が確定した。優勝争いから脱落し、Bクラスに沈んでCS出場を逃したチームが半数あるが、その中でも来季以降へ向けて確かな手応えを手にしたチームもある。

 パ・リーグではロッテだろう。井口体制2年目の今季は69勝70敗4分けの4位。借金22の5位だった昨季から順位を1つ上げるだけでなく、試合内容も大きく進化させた。最も伸びたのが本塁打の数。今季から「ホームランラグーン」導入で球場が狭くなった影響もあるが、昨季のチーム本塁打数78本から、今季は倍以上の158本に激増。32本塁打のレアード、24本塁打の井上晴哉を含めて計7選手が2ケタ本塁打をマーク。昨季は夏場に失速したが、今季は8月、9月と月間勝ち越しを決め、最後まで希望を持った中でシーズンを戦い抜いた。その結果、昨年記録した球団創設以来最多の観客動員数を今年も更新することになった。

 このファンこそがロッテの強みであり、希望である。首脳陣も井口資仁監督以下、チームとしての一体感を作ることを心がけてきた。チームとしてはソフトバンクとの直接対決に17勝8敗と大きく勝ち越しに成功。選手個々では、高卒2年目の安田尚憲が2軍でリーグトップの116安打&19本塁打&82打点をマークして来季1軍でのブレークに期待が高まっている。高卒1年目の藤原恭大も多くの経験を積み、さらに今年のドラフトでは163キロ右腕の“令和の怪物”佐々木朗希の交渉権獲得に成功。ファンの高揚感と新戦力の台頭が重なり、数年前の広島カープと同じような“右肩上がり”の空気感が漂っている。

 セ・リーグでは中日だ。与田剛監督初年度の今季は68勝73敗2分けの5位。順位は昨季と同じだったが、借金は15から5へと大きく減らした。チーム打率、チーム本塁打数、盗塁数などは昨季とほぼ同レベルだったが、チーム防御率が12球団ワーストだった4.36から3.72に大きく改善。これは阪神(防御率3.46)、ソフトバンク(同3.63)、広島(同3.68)に次ぐ12球団中4位の数字。プロ3年目の柳裕也が11勝(7敗)を挙げて独り立ちし、昨季未勝利に終わった大野雄大も復活を遂げた。

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若手野手の成長も期待できる中日