「日本は、安全ですか? 幸せですか? 日本も、チリと変わらないぐらいの格差社会です。男女格差もそうだけど、貧富の差、教育格差、情報格差。3世代にわたった格差社会と言われています。チリはいま、さまざまな『格差』、そしてそれを作り上げるシステムに対して、戦っています。ですが、戦っている内容、声を上げているポイントは正直日本にもあります。

 日本で、どれだけ大企業が税金を払っているのか。なぜ原発が世界で4番目に多いのか。なぜこんなにもギリギリで生きている人が多いのか。考えてみてください。これは、長年、私たち日本人が、茹でガエルのようにゆっくり茹でられてきたからです。だけど、国をつくるのは企業でも、政治家でもありません。人です。私たちです。そしてこの国の未来は私たちです。その次の世代のために引っ張るのも、私たちです。だからどうか、目を覚ましてください。耳を傾けてください。もし、今の生活にまったく違和感がないのであれば、あなたは恵まれています。その分、あなたの行動、あなたの発言は、何か変化をもたらす可能性があります。だからどうか、声が届かない人の声に、耳を傾けてください」

 批判の矛先は日本に向けられ、激しいことばで訴えるが、そこには、「ヤレる女子大学生」を批判した山本さんの思いに通じるものがある。

 チリの情勢について、外務省海外安全ホームページは注意を促している。

「報道等から現地の最新情報を入手し、不要不急の外出を控え、不測の事態に巻き込まれないようにしてください。デモ、暴動等には決して近づかず、仮にこれらの場所に通りかかった場合には直ちにその場から離れ,自らの安全確保に努めてください」

 山本さんは「無理をしない、安全な行動を十分にとる、危険度が増したら帰国する」と話している。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫