「阿部は澤村のポテンシャルの高さを認めています。経験豊富な捕手目線から、何かあればアドバイスをしている姿がたびたび見受けられました。原辰徳監督も監督就任時、澤村の可能性について阿部から話を聞いたという話です。澤村本人も自身の立場を理解していて、今年は気合が入っていた。練習から目の色が違いましたね」

 だが、その大きな後ろ盾となっていた阿部が現役引退となった今、澤村は危うい立場にいるともっぱらだ。

「将来的に阿部の監督就任は既定路線です。しかし、高橋由伸前監督の失敗例もあるように、引退後即就任はない。そうなった時に、阿部がコーチとしてチーム内に残るか、が焦点となります。コーチになれば、どのようなポジションであっても、澤村への指導はできて、澤村の世話を任せることができる。しかし引退後、現場を離れるとなると話は別。そうなると澤村がトレード要員になる可能性もあるでしょう」

 今の巨人で澤村をうまく扱えるのは学歴上だけでなく、球界での実績もある大先輩の阿部しかいない。もし阿部がチームに残らないとなると、澤村はチームでいっそう孤立することになり、巨人が厄介払いすることは十分あり得る。

 一方でトレード要員となれば、その実力から手を挙げる球団はあるはずだ。澤村に対する他球団の評価は決して悪いものではない。ある球団関係者は言う。

「真っ直ぐに力があるし、球速あるフォークが決まれば、打者のバットに当たらない。巨人という注目される環境で、本人も大きな重圧があったはず。環境を変えれば先発、ブルペンのどちらでも投げられる」

 素材は最高のものを持っている。ウエイトトレーニングおたく、と言われるほど練習にも熱心に取り組む。巨人としても「売り時」にトレードできれば、悪くない取引にできるだろう。プライベートの問題に目をつむれば、これだけの投手を埋もれさせておくのはもったいない。果たして澤村の去就はどうなるのか、気になるところだ。