台車にはモーターとブレーキ装置、床下にはVVVFインバータ制御器、主変圧器・補助電源装置など搭載されているが、北陸新幹線の沿線は降雪地帯のため、台車や床下に着雪しないようカバーされている。これは東北・上越新幹線の車両も同じで、東海道・山陽新幹線では見られない。とはいえ、カバーされていても今回の台風では隙間を縫って台車なども浸水したことは想像に難くない。

 東北・北海道新幹線のE5系・H5系は10両編成で、電動車は両先頭車を除いた8両。これで営業最高速度は時速320キロをマークする。一方、E7系・W7系は車両が増えているとはいえモーターの数も多いが、営業最高速度は時速260キロ、設計最高速度は時速275キロに抑えられている。これは北陸新幹線が整備新幹線計画に基づいて敷設されたため、準拠する法の違いにより時速260キロが上限となっているからである。

 また、在来線時代も難所だった碓氷峠越え(新幹線では安中榛名~軽井沢間)について、財政難で工費を抑える目的で当時の新幹線の基準では最大12‰(パーミル)に抑える勾配を、連続30‰としたため、北陸新幹線用の車両には強力な編成全体としての出力とブレーキが必要だった。

 なお、北陸新幹線は新幹線で唯一、電気の周波数が変わる特徴がある。東京~軽井沢間は50Hz、軽井沢~上越妙高間は60Hz、上越妙高~黒部宇奈月温泉間は50Hz、黒部宇奈月温泉~金沢間は60Hzである。E7系・W7系は高速で走行中に車両側が周波数を切り替える専用の装置を搭載している。

■さらなる車両不足を引き起こす可能性も

 2019年10月15日のJR東日本とJR西日本の発表では、北陸新幹線は東京~長野間、上越妙高・糸魚川~金沢間で折り返し運転を行い、当面は日中1時間1往復程度の特別ダイヤでの運行とする。長野~上越妙高間については、長野~飯山間で線路が冠水した箇所の点検が同日から始まった。信号関係の被災があり、これの復旧には1~2週間程度がかかるとされ、このほかのインフラに不具合が発見されれば、東京~金沢間の全線復旧はさらに時間を要する。

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代替車両の基準は厳しい