専属ドクターの仕事は、第一に年に1~2回のメディカルチェック。日頃から選手の健康管理をし、さらにパフォーマンスを維持するための体力、運動機能チェックをし、けが防止のための助言や管理をおこないます。メディカルチェックは内科、整形外科を始め歯科まで含まれ、選手のみならず監督やコーチなどスタッフ全員を対象におこなうチームもあります。

 そして、試合のときには会場ドクター、チームの遠征や合宿時には帯同ドクターも務めます。試合だけでもプロ野球ではホームとアウェーを合わせて年間143試合、JリーグではJ1で年間数十試合があり、複数のドクターによる協力態勢が必要になります。そのため、チームが医師個人ではなく、病院組織と契約しているケースもみられます。

 選手がけがや故障をした際には、専属ドクターが治療や手術、リハビリ指導を担当します。選手が別の病院で手術や治療をした場合には、治療内容や診断結果などの情報を共有します。プロスポーツ選手にけがはつきものであり、治療後も画像検査などの結果をふまえて選手の状態を的確に診断し、チームの戦力としてプレーに復帰できるかを判断するのも専属スポーツドクターの重要な仕事です。

 Jリーグでは「Jリーグチームドクター会」も組織され、年に2回、選手のパフォーマンス向上とJリーグの競技力の向上を目指した勉強会が開かれています。プロ野球でも、各球団のチームドクターが一堂に会して、チームドクターズミーティングが開催されています。

 専属スポーツドクターの仕事は多岐にわたり、契約の形式はチームによりさまざまです。例えば、ドクター個人との契約、あるいは病院組織との契約があります。契約内容として、メディカルチェックだけを請け負うものもあれば、ホーム試合の会場ドクターを担当するもの、遠征や合宿の帯同ドクターを派遣するもの、後方病院として選手の治療、手術、リハビリ指導をおこなうものなどがあり、それぞれの項目ごとにいくつかの医療機関と複数の契約を結んでいるチームもあります。

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日本と米国の契約事項の違い