星稜・奥川恭伸 (c)朝日新聞社
星稜・奥川恭伸 (c)朝日新聞社

 2019年のプロ野球新人選択会議(ドラフト)は10月17日に開催される。今年はなんといっても、大船渡の佐々木朗希が最大の注目株であり、星稜の奥川恭伸、明治大の森下暢仁などの指名にも熱視線が送られるだろうが、ここでは必要な補強ポイントから各球団のドラフト戦略を冷静に探ってみる。今回取り上げるのは2014年以来となるセ・リーグ制覇を成し遂げた巨人だ。

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 現状のスタメンリストを見ていると4年後に席が空いてそうなのは、ゲレーロのポジションくらいだ。

 巨人の編成が難しいのはメジャー志望を除くと、主力選手の移籍がほとんどないこと。そのため、選手を固定して起用できるものの、パフォーマンスが下降線に向かわない限り、世代交代ができない難しさがあるのだ。

 ほとんどメンバーを変える必要がないから、FAで他球団から獲得することはあっても、なかなか入り込む隙がないのである。

 そうした状況を鑑みると、高校生を中心にドラフトを展開していくほうが賢明だろう。昨季はその中で高校生投手をメインに指名したが、その方針を踏襲する形がベストだ。

 投手のドラフト候補はたくさんいるが、ここはチームを引っ張っていく大物の指名に走りたい。それこそ、大エースの菅野智之に次ぐ若い世代の投手を指名して看板選手に育て上げたい。

 今年は高校生ナンバーワン右腕の奥川恭伸(星稜)を指名したい。佐々木朗希(大船渡)より奥川の方が巨人にはベストな選択だ。重い期待を背負っても乗り越えていけるタイプだし、本人は菅野に憧れを持っている。良い効果を生むなら、奥川でいくべきだ。

 次の補強ポイントを探っていくと、やはり外野手がやや手薄だ。俊足巧打者というよりも、中・長距離を打てるタイプをリストアップしたい。この夏の甲子園を制覇した履正社のスラッガー・井上広大が適任だ。高校ナンバーワンスラッガーと高く評価するスカウトも多く、現在の主砲・岡本和真とクリーンナップを組ませたい。守備力はやや課題を残すが、東京ドームならさほど心配ないだろう。

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内野手も狙っておきたい