今年のドラフトで大きな注目が集まる佐々木朗希 (c)朝日新聞社
今年のドラフトで大きな注目が集まる佐々木朗希 (c)朝日新聞社

 10月17日に行われるドラフト会議に向けて、各球団の動向が多く報じられる時期となった。今年は佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、森下暢仁(明治大)の三人の投手に注目が集まるが、もちろん彼ら以外にも有力な候補は少なくない。そこでNPB12球団の補強ポイントからどの選手を狙うべきかを考えてみたいと思う。今回はセ・リーグでBクラスに沈んだ3球団をお届けする。

【ファンが選んだ平成で最もカッコいいバッティングフォームはこの選手!】

*  *  *

ヤクルト(セ・リーグ6位)

補強ポイント:投手陣の整備。外野手の世代交代

 昨年の2位から一転してダントツの最下位に沈んだヤクルト。大きな要因は12球団ワーストとなる防御率4.78を記録した投手陣にある。先発では高橋奎二、リリーフでは梅野雄吾が成長を見せたものの、チームの勝ち頭が大ベテランの石川雅規で、ブルペン陣も外国人に頼りっぱなしというのは何とも寂しい状況である。

 そんな中で真っ先に狙うべきはやはり森下になるだろう。1回から9回までコンスタントに150キロ前後のスピードをマークし、多彩な変化球を操るピッチングはまさに本格派の先発投手らしい。最近ではあまり投げる投手の少ない大きなカーブで緩急をつけられるのも大きな強みだ。今年はリーグ戦、大学日本代表でフル回転しながらこの秋も見事なピッチングを見せており、体力面も大きな成長が見られる。即戦力のローテーション投手として是が非でも獲得したい。

 森下を獲得できたとしても抽選で外したとしても上位の枠は投手で埋めたい。外れ1位、2位の候補として名前が挙がるのが杉山晃基(創価大)、宮川哲(東芝)の二人だ。杉山は所属しているリーグがメジャーではないためそこまで大きく騒がれてはいないが、その実力は大学球界でも屈指。ストレートと鋭く落ちるフォークを前面に出すピッチングは迫力十分だ。宮川は社会人球界を代表する本格派右腕。先発だと中盤につかまることがあるが、短いイニングであればストレートとカットボールで圧倒するピッチングを見せる。ともにヤクルトの投手陣にはないタフさを備えていることも推したい理由だ。

 野手ではバレンティンの去就が微妙で、ベテランの多い外野を手当てしておきたい。打てる外野手としては加藤雅樹(早稲田大)が候補になる。この春まで東京六大学で通算打率が3割を超えており、9本塁打を放っている大型外野手だ。少し調子の波はあるものの、潜在能力の高さは申し分ない。もう一人面白いのが独立リーグに所属している加藤壮太(BCリーグ武蔵)だ。大型だが脚力は申し分なく、プレーにスピードがあるのが持ち味。年々長打力も向上している。高校卒3年目という若さがあるのも魅力だ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
中日の補強ポイントは?