「チャンピオンズリーグで強いチームともやっているので、どこが相手でも自信を持ってやれるというのはあるかなと思います。(クロスは)ほとんど思ったところに蹴れましたけど、欲を言うなら2、3回もうちょいいいところに上げれるなって思ったシーンもあったんで。満足したら終わりなんで、もっともっと精度を上げれるように頑張りたい」

 そう語る伊東に関して、クロスに持ち込むプロセスとは別に成長を感じた部分がある。後半の早い時間に右サイドで名コンビを組んでいた酒井宏樹が、足首を痛めて安西幸輝に交代した。そこから伊東はそれまでより、ややインサイドのポジションを取りながら、安西の外側からの攻め上がりをサポートするプレーを見せるようになったのだ。

 それまでは酒井が伊東を追い越すとしても、基本は伊東が前で酒井が後ろからフォロー、タイミングを見て入れ替わるというものだったが、安西とのコンビでは早いタイミングで外側から追い越させることを意識したポジションを取っていた。「彼はサイドから上がるのが得意なので、なるべく中で受けたり、彼のスペースを作ってあげるという意識はしてました」と伊東は語る。

 ゲンクではJリーグの時よりボールの引き出し方や受け方を工夫しているのは明らかだったが、「生かしてもらう部分もありますし、自分が味方を生かす部分も大事だと思います」と語るように、周りの選手を生かすことで自分の選択肢を広げる効果を得ている。それがモンゴル戦での酒井と安西の”使い分け”にも表れたと言える。

 伊東が目覚ましい成長を示す一方で、モンゴル戦では出番のなかった堂安もオランダの名門であるPSVアイントホーフェンで着実にフィットしており、代表の合流前にはヨーロッパリーグと週末のリーグ戦で続けてスタメン出場を果たした。

「格下と言われる相手でも勝たなくちゃいけない試合がオランダリーグでは多いので、そこで勝ち抜く、勝ち点3をとる難しさも感じてますし、代表でもつながると思うので、還元したい」と堂安は語る。国内リーグでは強者、ヨーロッパリーグではチャレンジャーという立場でチームメートとも切磋琢磨できているのは堂安の強みだ。

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堂安、久保との競争に名乗り