星稜の奥川恭伸 (c)朝日新聞社
星稜の奥川恭伸 (c)朝日新聞社

 2019年のプロ野球新人選択会議(ドラフト)は10月17日に開催される。今年はなんといっても、大船渡の佐々木朗希が最大の注目株であり、星稜の奥川恭伸、明治大の森下暢仁などの指名にも熱視線が送られるだろうが、ここでは必要な補強ポイントから各球団のドラフト戦略を冷静に探ってみる。今回取り上げるのは2年連続のパ・リーグ制覇を果たした西武だ。

*  *  *

 CSファイナルを戦っている最中の西武が昨季に続いて露呈しているのが投手陣の層の薄さだ。

 若手の成長を待つシーズンとして位置付け、今井達也や高橋光成、本田圭佑などがローテーションを回ったが、ブルペン陣を含めて枚数の強化は急がなければならない。先発型は、ある程度、時間の余裕があるにしても、全体の層を厚くしなければいけない。

 即戦力の投手を指名したいところだが、そこはまず2位以下からにして、スケールの大きい、ローテションの1番目を担う選手を1位に指名したい。

 この夏の記憶が新しい奥川恭伸(星稜)が最右翼の候補者になるだろう。ストレートの球威もさることながら安定感のあるコントロールは3年以内のローテーション入りが期待できる。佐々木朗希(大船渡)と比べながらになると思われるが、いずれにせよ、高校生のスケール感ある投手指名で挑みたい。

 奥川と佐々木を抽選で外した場合も、投手を指名したい。

 ただ、ここではなるべく即戦力に近い投手が望ましく、大学生の津森宥紀(東北福祉大)が適任者と見る。津森は右サイドからMAX150キロに迫るストレートを投げる。どちらかというと、適性はブルペンになりそうで、増田達至、平井克典、平良海馬が台頭する中に食い込ませれば、強力なブルペンができるはずだ。また、JR東日本の太田龍も、先発・ブルペンの両方をにらみながら指名候補にあげてもいい。

 左腕投手が少ないのも補強ポイントの一つだ。河野竜生(JFE西日本)の評価が高いが、2位以下では残っていない可能性が高く、即戦力にこだわらない人選にシフトチェンジするのであれば、及川雅貴(横浜)などがいる。ストレートの最速が153キロもある。荒削りだが、菊池雄星の再来としての期待値は高い。

次のページ
人材不足の外野手は補強候補