彼ら20代半ばの世代が「日本を勝たせる存在」になってきたことは、チームにとって前向きな材料に他ならない。ここまで中島翔哉と南野、堂安律の2列目トリオにこだわってきた森保一監督がリスクを冒して新コンビにトライしたからこそ、このような手ごたえをつかめたのだ。

 しかしながら、指揮官の手堅く慎重すぎる一面が裏目に出た部分もあった。それは守備陣に関してだ。最終ラインは今回も酒井宏樹、冨安健洋、吉田、長友の4枚が先発。1月のアジアカップから不動のメンバー構成だった。森保体制発足後、冨安が加わって多少なりとも若返りが進んだものの、それ以外の3人はワールドカップ2大会を経験しているベテラン勢だ。「弱小・モンゴル相手にそこまで計算できる面々を送り出す必要があるのか」という疑問を抱く人も多かったのではないか。

 15日の次戦・タジキスタン戦(ドゥシャンベ)は移動を伴う中4日。しかも相手は9月にミャンマーとキルギスに連勝していて、10日はゲームがない。入念な準備をして日本を迎え撃てる状態だ。その難敵との大一番が控えているのだから、「何人かを温存して、そちらに照準を合わせるべきだった」という見方をされるのも仕方ないだろう。

 それでも、あえてベストメンバー起用を強行した結果、酒井宏樹が足を軽くネンザして早い時間帯に交代。冨安に至っては試合終了間際に左太もも裏を負傷し、途中離脱を余儀なくされた。冨安のケガは軽症ではなさそうで、代表離脱が決定。せっかくコンスタントに出番をつかんでいたボローニャでの立ち位置にも影響しそうだ。

 結果論ではあるが、今回のモンゴルはシュートゼロと攻撃にまるで迫力がなかった。守護神・権田修一は仕事らしい仕事をする機会もなかった。そういう相手だからこそ、これまでとは異なる守備陣の構成で戦っても問題なかったはずだ。公式戦ということで、リスクを最小限にしたかった森保監督の思惑も理解できるが、「思い切ってメンバーを変えていたら、冨安らのアクシデントも避けられたかもしれない」という後悔が色濃く残る形になってしまった。

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バックアッパーも不調じゃないのに…