2018年の出場者会見の模様 (c)朝日新聞社
2018年の出場者会見の模様 (c)朝日新聞社

 今年も米津玄師(28)の快進撃が続いている。チャートをアイドルソングやアニソンが多くを占める昨今において、シンガーソングライターとしてまさに孤軍奮闘している印象だ。9月には「馬と鹿」が、嵐の「BRAVE」をセールスで逆転しチャートで1位になったことも話題となった。ほかにも、米津がプロデュースした俳優・菅田将暉の「まちがいさがし」が、5、6月にチャートで1位を獲得。さらに昨年、NHKの「2020応援ソング」として提供した「パプリカ」が今年も歌われ続け、8月にリリースされたセルフカバーバージョンが話題になるなど、音楽業界で強烈な存在感を残している。

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 さらに、昨年大ヒットした米津の代表曲「Lemon」は今なお売れ続けている。先日ついに、300万ダウンロードを突破し、平成生まれのアーティストで初めてトリプルミリオンダウンロードを達成した。都内のあるスナックの店員は「1日に5回は歌われる」と話しており、若者だけでなく高齢層にも浸透しているようだ。老若男女問わず支持されている一因は、昨年末の紅白出場だろう。今年の活躍を考えると今年の出場もほぼ“当確”と言われており、2年連続の出場となりそうだ。

「紅白出場歌手は世間的なヒット曲を世に送り出すだけでなく、NHKへの貢献度が重要となります。その点では今夏、めったにメディア出演しない米津のインタビュー特番が同局で放送されました。その上、みんなのうたのウェブサイトには、さまざまなバージョンのパプリカを紹介する特別枠もあります。これはNHK側に『なにがなんでも米津を紅白に出す』という強い意思を感じますね」(音楽レーベル関係者)

 一方で、米津は顔出しを極端に避けることで有名だ。先日まで行われていたアリーナツアーでも、顔を隠すようなヘアスタイルと陰影の多いライティングで、ミステリアスな印象を残している。昨年の紅白でも新人歌手としては異例の中継放送で、同じく顔があまりわからないような演出が施されていた。

「つまり、そこで『パプリカ』なんです。同曲は5人の小学生男女で構成される混声ユニットが歌うので、本人がしっかり出演しなくても、子供たちや紅白に出演しているさまざまな演者に歌ってもらうという“遠隔操作”が可能になる。昨年は米津の故郷・徳島県の大塚国際美術館からの生中継出演でしたが、場所が特定されてファンが詰めかけるなど大騒ぎとなりました。今年の紅白は、どこかのスタジオに本人の影だけを映し出し、全国の子どもから送られたダンスバージョンとコラボするみたいな演出になるでは」(同)

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