U-18でも活躍した興南の宮城大弥 (C)朝日新聞社
U-18でも活躍した興南の宮城大弥 (C)朝日新聞社

 2019年のプロ野球新人選択会議(ドラフト)は10月17日に開催される。今年はなんといっても、大船渡の佐々木朗希が最大の注目株であり、星稜の奥川恭伸、明治大の森下暢仁などの指名にも熱視線が送られるだろうが、ここでは必要な補強ポイントから各球団のドラフト戦略を冷静に探ってみる。今回取り上げるのはレギュラーシーズン最後の6連勝で3位に滑りこんだ阪神だ。

【大阪桐蔭が断トツ!過去10年高校別「プロ野球選手輩出数」ランキング】

*  *  *

 ドラフトは強気に出たものが勝つ。

 今年、それをもっとも感じているのが阪神だろう。

 昨季のドラフトでは藤原恭大(ロッテ)、辰巳涼介(楽天)の競合に思い切って挑み、ともに外れた。しかし、最後に拾った近本光司が大活躍を見せているのである。ドラフトとはチームを強くすることに対しての本気度がその先の運命すらも変えてしまうということなのかもしれない。今年もその積極性を見せていきたいものだ。

 ただ、現状のチーム事情をみていくと、穴が空いているのは左投手、右の外野手、捕手といったところだ。意外と言っては失礼だが、先発ローテーションの枠は埋まりつつあり、即戦力の特に右投手は慌てて取る必要がないのだ。

 また、同じ野手でも近本や木浪聖也、糸原健斗に代表されるようなチャンスメークタイプはたくさんいるため、指名の必要がなく、スケール重視で選んでいきたい。

 1位で投手を狙うなら高校生だろう。奥川恭伸(星稜)、佐々木朗希(大船渡)に挑むことは悪くないが、数が少ないサウスポーの逸材は失いたくない。高校生では宮城大弥(興南)を狙いたい。

 高校1年から甲子園に出場した琉球期待のサウスポーは、U-18ワールドカップでも活躍し、名実ともに申し分ない。沖縄県大会決勝での登板過多だけが調査対象だが、チーム事情を考えれば宮城一本でいい。もちろん、奥川、佐々木に挑んでからの宮城という選択も決して悪くない。

 次に狙いたいのがスラッガータイプの外野手だ。巨人岡本和真を育てたような核が必要になりそうだが、甲子園優勝の4番・井上広大(履正社)が適任だろう。1位指名する必要はないだろうから、指名への障壁はないはずだ。地元出身の選手であり、虎党を納得させることができるはずだ。

次のページ
“伸び悩み”の選手に見切りをつけるべき?