進路を占ってこの歌が出たら「周りの人がいろいろ言っても、問題ないから自分の行きたい方向に進んでいいよ」というメッセージになるし、恋愛だったら、やはり「進んでいい」というお告げと受け取ることができる。


 
 このときは平野教授に歌を解釈してもらったが、学園祭では平野ゼミの学生が歌占をしてくれる。学生たちは、くずし字の読み方を学び、歌の解釈を練習して臨む。子どもから大人まで、2日間で約1000人を占う。
「お客さんの悩みは受験や病気など重いものもある。直接、話をして占わせてもらうのは貴重な経験です。学生たちはすごく鍛えられて、柔軟なコミュニケーション力と自信がつきます」
 
 就職活動でも、歌占の話をすると、面接担当者と話が盛り上がって評判がいいという。
 
 さらに、平野ゼミではオンライン辞書・事典サイト「JapanKnowledge( ジャパンナレッジ)」とコラボレーションして、陰陽師・安倍晴明がつくったとされる江戸時代の歌占本をウェブアプリ化し、いつでも誰でも無料で占えるようにした。学生がそれぞれ歌の解釈を出して講評し合い、厳選したものを開運アドバイスとして載せている。
 
 この活動のように、学生と一緒に何かをつくりながら考えていくのが平野教授のスタイルだ。今年の授業では、安倍晴明の超人的なエピソードが出てくる今昔物語集、宇治拾遺物語などの説話を読んでいる。
 
 約150人が受講する文学史の授業でも、一方的に話すのではなく、多様な工夫をしている。席は指定制で、入室時に番号カードを引き、その番号の席に座る。毎回、隣は違う人なので、最初の2分間に自己紹介と前回の授業の振り返りをする。学年の違う人、60 ~80代の社会人聴講生と隣になることもある。
 
 授業の途中には、「あなたは神様を信じますか、信じるのはどんなときですか?」といった授業内容にかかわるテーマを隣の人と話し合う。最後には2人で授業を振り返る。
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アクティブラーニングが多彩なスキルを伸ばす