朝鮮学校が金正恩体制をたたえる教育をしているとの批判もある。これも実情と異なるという。朝鮮学校の教員はこう話す。

「戦後に朝鮮学校を設立する時に支援を受けたので、感謝の気持ちはあります。ただ、今の学校に通っている子供たちには在日5世もいます。政治体制に対する考え方は、子供も保護者もそれぞれ。一人ひとりをちゃんと見てほしい」

 内閣府の担当者も「一つ一つを見ればちゃんとした施設があるかもしれない」と認める。それでも、今後、外国人学校を幼保無償化の対象にするかについては「予定はない」と話す。

 在日朝鮮人の人権問題に取り組む在日朝鮮人人権協会の金東鶴(キム・トンハク)副会長は、こう話す。

「日本政府はグローバル化を目指し、入管法(出入国管理法)も改正して外国人の受け入れも増やす政策を進めています。朝鮮学校だけではなく、無償化の対象外には、ブラジル人学校なども含まれています。幼保無償化を定めた子ども・子育て支援法では支援の対象を『全ての子ども』と書いているのに、外国人学校の子供だけ支援しないのはおかしい。今回の外国人学校外しは、日本の今後に悪い影響を与えることになる」

 10月からの消費増税では、外国人学校に子供を通わせる保護者も等しく増税分を負担する。だが、朝鮮幼稚園の保護者の一人は、怒りを込めてこう話した。

「これはお金の問題ではありません。人としての尊厳を損なわれているのです」

(AERA dot.編集部/西岡千史)