まずは「青春18きっぷ」との違いについて解説したが、基本的なルールは共通点が多い。新幹線を含む特急・急行列車は、一部の例外を除き別途に特急券などを購入しても利用できず、乗車全区間の乗車券が必要。以下の区間について「秋の乗り放題パス」のみで特急の普通車自由席に乗車できるのも「青春18きっぷ」と同じだ。

【「秋の乗り放題パス」のみで特急に乗れる特例区間】
○石勝線:新得~新夕張間
○奥羽本線:新青森~青森間
○佐世保線:早岐~佐世保間
○宮崎空港線:宮崎~宮崎空港間

 石勝線の当該区間は普通列車の運行がないため、乗車券のみで特急列車の普通車自由席に乗れる特例がある。奥羽本線は東北・北海道新幹線との接続を考慮した特例で、さらに全車指定席の普通列車(快速を含む)の普通車も利用可能だ。ただし、いずれも該当区間内のみの乗車に限り適用されるため、たとえば札幌~新得間や弘前~青森間などを通しで特急列車に乗ると全区間の乗車券と特急券が必要となる。

 佐世保線と宮崎空港線の扱いは多少異なり、乗り越し区間の乗車券(「秋の乗り放題パス」以外の有効な乗車券)と特急券を別途購入すれば、該当区間を越えての特急乗車が認められている。

■北海道新幹線に乗れる「オプション券」も発売

 新幹線乗車は原則認められないが、当日有効の「秋の乗り放題パス」との組み合わせで利用できる、「秋の乗り放題パス北海道オプション券」(2490円/こども1240円)を購入すれば、普通車自由席を利用できる。

このオプション券は奧津軽いまべつ~函館間限定の片道切符(奧津軽いまべつ~木古内間=北海道新幹線、木古内~五稜郭間=道南いさりび鉄道、五稜郭~函館間=函館本線。途中下車は木古内・五稜郭のみ可)で、こちらも該当区間を越えての新幹線乗車(直通または改札内乗り継ぎ)は認められていない。

 そのほか、第三セクター路線についても「青春18きっぷ」と同様のルールが適用される。表2に乗車できる路線・区間(道南いさりび鉄道を除く)を挙げておこう。いずれも「秋の乗り放題パス」を提示すれば、快速を含む普通列車の普通車自由席に乗ることできるが、該当区間を越えての乗車には乗車全区間の運賃が必要(青い森鉄道を除く)。

 また、下車駅は限定されており、それ以外の駅で乗降する場合には乗車全区間の乗車券が必要なるので注意しておきたい。

「青春18きっぷ」の端境期ともいえる秋に登場する「秋の乗り放題パス」。旅行に最適なシーズンを楽しむためにも、積極的に利用してみたい切符といえるのではないだろうか。

○植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。