怖いのは「怪我」だ。坂本は若い頃から慢性的な腰痛に悩まされており、今季も6月に腰の張りを訴えて途中交代。優勝間近の9月16日には足の張りを訴えて途中交代した。現時点では“軽症”で済んでいるが、来季以降、肉体的な衰え、筋力低下の中で、腰痛が再発、あるいは他の箇所に“重症”となり得る痛みが出てもおかしくない。

 これを回避する一つの手段として、守備の負担軽減、現在の遊撃手からの三塁手への配置転換が考えられるが、守りにも強いこだわりとプライドを持つ坂本がどこまで自分自身を納得させることができるか。理想は遊撃手でのフル出場だが、史上2人目の3000安打達成、そして“張本超え”のためには、どこかで決断する必要があるかも知れない。

 近年、優れた打者がメジャーへと活躍の場を移し、そのためにNPB記録が途切れてしまう流れがある。日米通算という言葉もよく目にするようになった。だが、できるならば純粋なNPB記録として、そして大記録達成の瞬間を目の前で見たいところ。まだ1000安打以上を残し、まだ8年以上も先のことになるだろうが、その期待と愉しみを託す価値を、坂本は持っている。