こうなると気になるのは、「黄金世代」なぜ強いのかということだろう。

 プロゴルファーは年齢の差こそあれ、その多くは小学生くらいからゴルフを始めている。そして彼女たちも例外ではない。彼女たちが小学生の頃というと、おおよそ10年前くらいになるが、この時にテレビの画面の向こうで活躍していたのが宮里藍だった。

 宮里が東北高校3年生でプロツアー優勝の快挙を成し遂げたのは2003年で、米ツアーを主戦場とし世界ランク1位に輝いたのは2010年。黄金世代が物心ついた時に世間は「藍ちゃんフィーバー」に沸き、彼女たちがひた向きにボールを打っていた頃に宮里は憧れのアスリートとなっていた。彼女たちの目には常に宮里が映っており、宮里が世界で活躍する姿を見て彼女たちは育ってきた。

 人気スターが誕生すると、それに続く子供達がたくさん生まれ切磋琢磨し新たなスターが生まれる。こうしてそのスポーツはさらなる発展を遂げるわけだが、今の女子ツアーがそれに当てはまるのではないだろうか。宮里を目指した小さな女子ゴルファーが全国でそのスキルを磨き、良きライバルとしてお互いを高め合う。一人が良い成績を挙げれば「あの子にできるなら、私もできる」と別の子が闘志を燃やす。この好循環が今の「黄金世代」を作り上げているのだろう。

 一方で、彼女たちが早く活躍すればするほど、今後の女子ゴルフは女子ゴルファーの次なるステップへの手段となり、早期引退を招く可能性もあるように思う。

「黄金世代」に限らず多くの女子ゴルファーは、ジュニア時代からゴルフに没頭してきたものが多い。20歳前後や20歳台前半で成功を手にすると、そこで満足し、バーンアウトを引き起こしてそれまでのモチベーションを保てなくなってもおかしくはない。これまで女子ゴルフには明確に「引退」という概念はほとんどなく、レベルが落ち試合に出られなくなるなどで、「そう言えば、あの時のプロは何をしているのだろう?」などと“自然消滅”することがほとんどだった。

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早熟傾向の弊害も…