ほかにも、アレルギーマーチの最初のきっかけが皮膚からの侵入(つまり経皮感作)であるとの報告があります。家のホコリの中に含まれているピーナッツ成分の量とピーナッツアレルギーの発症の相関を調べた研究では、フィラグリン遺伝子変異がある患者さんの群で相関が認められました(The Journal of Allergy and Clinical Immunology, 134, 2014, 867 - 875.)。

 つまり、皮膚がカサカサだと部屋の汚れによってアレルゲンに感作され、アレルギーを引き起こしやすい可能性が指摘されています。

 肌がカサカサで敵の侵入が容易な状態では、いくつものアレルギーを引き起こしてしまいます。そこで、乾燥肌はしっかり保湿をするべきだし、生まれたての赤ちゃんには保湿を続けてあげることが大事です。

 私は多くのアレルギーにかかっていますがアトピーはありません。しかし、自分で調べてみたところフィラグリン遺伝子に異常がありました。ちなみに肌はいつもカサカサしています。

 おそらく小さなころからカサカサしていた肌に、ハウスダストや花粉の成分が入り込んでアレルギーとして体が認識してしまったのでしょう。秋のこの時期は、目がかゆくなり鼻水も出て、エアコンのホコリには敏感に反応するためつらいものです。

 アレルギーマーチの先頭には、ドライスキンがあります。カサカサ肌がきっかけでさまざまなアレルギーが引き起こされます。ドライスキンは保湿剤を塗ることで改善しますし、アレルギーマーチは保湿で予防できるという論文も出てきています。

 これから空気が乾燥するシーズンに入ります。ドライスキンの方もそうでない方も、ぜひ保湿をしてください。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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