東京五輪のメイン会場となる新国立競技場 (c)朝日新聞社
東京五輪のメイン会場となる新国立競技場 (c)朝日新聞社

『「2020インターハイ」中止の危機を救え!高校生の熱い夏を守りたい』

【写真】2010年インターハイ出場時の井上尚弥

 こう銘打ったクラウドファンディングがあるのをご存知だろうか。全国高等学校体育連盟(全国高体連)が来年夏の高校総体開催費用を募っているのだ。7月25日にスタートし、10月23日までの3カ月間に4000万円を集めようとしているが、9月15日の時点で420万8000円。目標額には程遠い状況と言わざるを得ない。

 その一方で、全国高体連はクラウドファンディングに先駆けて「2020インターハイ特別基金」を作り、7億円を目標に寄付を募っている。しかし、こちらも現時点では5133万円。やはり10分の1以下しかお金が集まっていないのだ。

 高校スポーツを統括する団体であるはずの彼らがなぜこんなことをしなければならなくなっているのか……。それはズバリ、2020年東京五輪・パラリンピックとのバッティングが原因である。

 ご存知の通り、東京五輪は来年7月24日から8月9日まで開催される。が、例年8月1~10日に実施される高校総体と時期が重なってしまう。しかも2020年の開催地は埼玉、群馬、栃木、茨城の北関東4県を中心とした分散開催。九州や近畿など別エリアなら問題なかったのだろうが、宿泊施設や交通アクセスなどに影響が出ることが必至の情勢となった。

 全国高体連は30競技全てを北関東4県で行うことは困難と判断。広域開催の道を探り、今年4月にようやく11競技を北関東4県、残り19競技を16府県に分散させるメドがついたという。

 しかしながら、開催費用の8割は地元自治体の負担。その彼らが「特別な予算措置は難しい」と窮状を訴えていることから、前述のようなクラウドファンディングや基金を作って費用捻出を図る羽目になったのだ。全国高体連の奈良隆専務理事は苦渋の表情を浮かべる。

「高校総体は選手・関係者だけでのべ20万泊が必要で、保護者や応援の方を含めるとのべ50~70万人が訪れる。それだけ大々的なイベントです。もともと2020年高校総体を北関東4県で開催することは2012年に決まっていて、その1年後の2013年9月に東京五輪・パラ招致が正式決定した。
『五輪が来るかもしれない』ということで、我々は事前に開催地の入れ替えを打診したのですが、『まだ決まっていないことには対応できない』という回答で、調整がつかなかった。実際に決まってからも再びアクションを起こしたのですが、困難という結論に達しました」

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なかなか得られない援助…