そして女性なら、もっとも気になるであろう衛生面について。シャワー室内は自動洗浄があるので、想像しているよりもずっと清潔です。自分の前に入った人の髪が落ちているなどということもありません。もし、それでも気になるようでしたら、東京駅を出発してすぐに入りましょう。出発直後は、部屋で一息ついている人が多いので穴場の時間です。24時くらいの混雑する時間だと、通路で待つことになります。

 シャワー時間が6分間というと、短いと感じる方もいるかもしれません。しかし、シャワーのお湯はボタンで出したり止めたりが可能で、途中でお湯を止めている時間は6分にカウントされません。髪や体を洗っている時は、必ずシャワーを止めるなどの工夫をすると、時間があまるほどです。私はいつも“頭を2分、体を2分で”と決めているので、2分ほど時間を余らせます。

 また、シャワー後の髪の毛を乾かす時間も問題です。シャワー室には備え付けのドライヤーがあります。私は現在ショートボブなので、そのドライヤーを使用し、5分くらいであらかた乾かせました。ですが、ロングヘアーだったころはその時間が長かったので、車内での洗髪は諦めていました。とくにシャワー室使用時間の制限は書かれていませんが、次の人が待っているためです。ですので、ロングヘアーの方は、事前に入浴してくることをおすすめします。

「東京駅に来るまでに汗をかくのでシャワーを浴びないと気持ち悪い!」という方は、東京駅周辺のインターネットカフェで汗を流してからの乗車がお勧めです。

 しかし、ネットカフェはシャワーの個室数が少なく乗車までに入れないこともあります。そこでおすすめなのが、ランニングステーションです。皇居ランをする人のための、シャワー室とロッカーを備えた施設です。例えば「MARUNOUCHI Bike&Run」は新丸の内ビルディング地下1階にあり、JR東京駅の丸の内中央口まで徒歩1分。ランニングをしなくても利用でき、個室数も多く、大きな鏡もあるのでゆっくり髪を整えることもできますよ!

 このように、工夫次第で「サンライズ出雲・瀬戸号」の旅が、ぐっと快適になります。皆さんも、これで「サンライズ出雲・瀬戸号」マスターです! 夢のような寝台列車の旅を楽しんでくださいね。(文/古谷あつみ)

○古谷あつみ(ふるや・あつみ)/1986年、大阪府生まれ。小学校の社会科見学で車両基地に行ったことがきっかけで鉄道ファンに。専門学校卒業後、東海道新幹線の車内販売員、JR西日本の駅員を経て、「鉄道の楽しさをPRしたい」と鉄道タレントとしての活動をはじめる。テレビ番組や鉄道雑誌、Webなどで鉄道の魅力を伝えるかたわら、公立高等学校で観光学の非常勤講師を務める。