東武鉄道と野岩鉄道、会津鉄道、JR只見線の4路線、95キロにわたるロングラン列車で、10時30分に鬼怒川温泉を出発、終点の会津若松には13時28分に着く。栃木・福島県境に広がる帝釈山脈を越える秘境ルートであり、栃木県側では鬼怒川水系が、福島県側では阿賀川に沿った道行きで、ほぼ全線にわたり渓谷美とともに雄大な紅葉の車窓が期待できる。

 五十里湖に架かる湯西川橋梁や龍王峡をはじめとする絶景のほか、会津鉄道湯野上温泉駅の足湯や芦ノ牧温泉駅の名誉ねこ駅長「らぶ」、ねこ施設長「ぴーち」との出会いも楽しみ。

 会津鉄道内では鉄橋上での観光停車を実施、野岩鉄道内では一部トンネル内でトロッコ車両をトンネルシアターとするなどのイベントも楽しめる。紅葉シーズンはおおむね10月下旬から11月中旬にかけて進む。

 乗車の際は、東京圏からの日帰りも不可能ではないが、会津観光などと組み合わせた周遊ルートをおススメしたい。会津若松からJR磐越西線に乗車、郡山経由で東北新幹線、新潟経由での上越新幹線との組み合わせも容易だ。

 会津鉄道の「お座トロ展望列車」自体は観光列車として、通常は土休日を中心に会津若松~会津田島間(42.0キロ)で運行している。2両編成ながら窓なしの「トロッコ席」をはじめリクライニングシートを備えたハイデッカーの「展望席」、掘りごたつをしつらえた「お座敷席」と車内設備が充実している。(文/植村誠)

【各列車乗車方法】

【わたらせ渓谷鐵道 トロッコわたらせ渓谷号/トロッコわっしー】
●乗車券のほか整理券(510円/こども260円)が必要。
●整理券は乗車1カ月前の11時から大間々、相老、通銅駅窓口のほかJTB、一部旅行代理店などで発売。
●「トロッコわたらせ渓谷3号」のトロッコ車両のみ指定席。乗車当日の9時から大間々駅で先着順に座席指定券を整理券と交換する。
●そのほかの列車・車両は定員制のため、希望の座席に座りたい場合には始発駅への早めのアクセスを。

【秩父鉄道「SLパレオエクスプレス」】
●乗車券のほか「SL整理券(自由席)」(510円)または「SL座席指定券」(720円)が必要。
●整理券、指定券はJR東日本管内の「みどりの窓口」および「びゅうプラザ」、SL停車駅窓口、東武トップツアーズほか旅行代理店などで購入可能。ただしJR東日本での発売は9月末日で終了し、10月以降分の発売はされていないので要注意。
●2019年の10~12月は全席自由席での運行で、「SL整理券」は秩父鉄道公式サイトや電話での予約も可能。

【野岩鉄道「湯めぐり号」】
●乗車券のほか整理券(310円/こども150円)が必要。
●整理券は東武トップツアーズのほか、野岩鉄道停車駅、東武日光駅などで乗車1カ月前から発売。

○植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。