丸佳浩の大型補強は成功したが… (c)朝日新聞社
丸佳浩の大型補強は成功したが… (c)朝日新聞社

 5年ぶりのリーグ優勝が目前に迫っている巨人。シーズン開幕前に話題となったのは、原辰徳・新監督の下で敢行された大型補強だった。

【写真】打率は1割台と低迷…期待値の高かった移籍組の選手は?

 丸佳浩外野手、炭谷銀仁朗捕手をFA市場で獲得した他、マリナーズを退団した岩隈久志投手、オリックスを自由契約となった中島宏之内野手、そして新外国人としてビヤヌエバ内野手、クック投手を獲得。さらにシーズン途中の6月に新外国人のデラロサ投手、トレードで藤岡貴裕投手、鍵谷陽平投手、7月には古川侑利投手をチームに加えた。

 補強の目玉は丸だった。リーグ3連覇を果たした広島の主軸にして昨季のリーグMVPは、新天地でも不動のレギュラーとして安定したパフォーマンスを続け、9月16日終了時点で全試合に出場して打率.302、27本塁打、89打点の好成績を残している。打率は坂本勇人に次ぐチーム2位、本塁打は坂本、岡本和真に続くチーム3位、打点は坂本と並ぶチーム1位。本塁打の際の「マルポーズ」もチームに浸透し、まさに首位快走の原動力となった。

 だが、丸以外の面々の貢献度は高くない。丸と同じくFAで西武から加入した炭谷は、正捕手として起用された時期もあったが、ここまで出場53試合と活躍は限定的。そしてローテ入りが期待された岩隈はコンディション不良で8月末に2軍でようやく実戦復帰したという状況で、右の代打要員となった中島は43試合出場で打率.148で、得点圏打率.000(12打数無安打)。

 さらに昨季メジャーで20本塁打を放ったビヤヌエバは、73試合出場で打率.223、8本塁打、24打点と物足りず、新守護神として期待されたクックは、故障から調子を崩して13試合で防御率4.80。シーズン途中加入組では、唯一、鍵谷が中継ぎで23試合に登板して防御率2.28とチームに貢献しているが、あくまでも脇役の存在。大型補強が優勝の原動力となったかは、甚だ疑わしい。実情は、ベテランの奮起と若手の台頭が大きな原動力となった。

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現有戦力で台頭したのは…