ところが、発売から2年が経過した先日、JR北海道が衝撃的な発表を行った。ご当地入場券の発売を9月30日(月)で終了するというのだ。

 鉄道仲間で集めていた友人のうち、何人かは会社勤めのため、「もう休みが取れない」という理由で収集を断念した。残りは昆布駅、砂川駅、美瑛駅、上富良野駅、中富良野駅の5駅と、完全制覇を目前に控えていた私も、ついに覚悟を決めるべき事態に陥った。

 言葉どおりのラストスパートを目前にして焦りはするものの、気を付けなければいけないのが、道の駅を中心とする施設の販売所だ。

 施設によっては月曜日定休があり、その場合は前日で終了する場合もあるだろう。ほかにも入場券の増刷がなくなったことで、売り切れ御免となった駅がないとは言い切れない。このことは公式サイトでも赤文字で注意喚起されている。

 私の場合、未達成のひとつである函館本線・昆布駅の発売所が月曜日定休にあたる。つまり、9月29日の日曜日で発売終了ということだ。

 短期間ではあるが、私にとっては濃密な思い出を残してくれたご当地入場券。発売終了まであと半月をきった今、残り5駅のために私は北海道へ飛ぶつもりだ。

 来春から始まるという新企画にも期待を寄せてはいるものの、この旅の結末が自分史上最高にハッピーなものになるのか、悔恨の記憶として生涯心に刻みつけることになるのかは、まだ見当もつかない。(文・坪内政美)

○坪内政美(つぼうち・まさみ)スーツ姿で撮影をするという奇妙なこだわりをもつ四国在住の鉄道カメラマン・ロケコーディネーター。各種鉄道雑誌などで執筆活動もする傍ら、テレビやラジオにも多数出演。駅スタンプの寄贈なども行っている。