しかしながら、アジアカップで壁にぶつかった南野と堂安はスランプに近い状態に陥り、中島も強引にドリブルで敵陣をこじ開けようとするエゴの強いプレーが目についた。が、彼らを重用するという強い意思は変わらず、今回も三銃士をスタメンに抜擢した。

 今回のミャンマー戦では期待の若い世代が日本を勝利に導いただけでなく、後半からピッチに立った伊東純也や久保建英もそれぞれストロングポイントを発揮した。2018年ロシアワールドカップ最終予選で4試合連続ゴールの日本代表新記録を樹立した原口元気さえも今回ピッチに立てなかったほど、攻撃陣の選手層は分厚さを増した。そこには森保監督も大きな手ごたえを感じているはずだ。

 本格的な攻撃陣の若返りが進む中、さらなる逆風が吹き荒れると見られるのが、30代のベテラン勢だ。香川はカタールで3度目の世界舞台を立つことを視野に入れ、出場機会をコンスタントに得られるスペイン2部のサラゴサを選んだ。乾貴士が慣れ親しんだエイバルに復帰し、岡崎もウエスカに新天地を求めたのも「まだまだ日の丸をつけて戦いたい」という強い思いがあるからだ。

 コパアメリカで岡崎が大きな存在感を示し、吉田麻也が「やっぱりオカちゃんが入るとチーム全体が落ち着くという印象があった」と話すなど、2次予選スタートまではベテランの価値を再認識する傾向が強まりかけていた。しかし、このミャンマー戦で再び風向きが変わったのは否めない事実。「人材豊富なアタッカー陣はもはや若手だけでいいのではないか」という世論も一段と高まっていきそうな気配だ。

 実際、今回の試合で伊東が左サイドに入り、久保が右サイドを担ったように、今の若い世代は複数ポジションを柔軟にこなせる多様性がある。かつて香川がアルベルト・ザッケローニ監督時代に左サイドに回され、「自分のよさを出せない」と苦悩した時代とは選手個々の考え方が大きく変わっているのは事実だろう。

 新世代のスター・18歳の久保にしても「自分は(トップ下と右の)どちらで出たいとかいうつもりは全くない。チャンスがあるのであれば、GK以外ならどこでもいく気持ちで準備をしないといけないのかなと思います」と語っていたほどだ。

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若手も今後はまだわからないが…