ミャンマー戦前半、先制点を決め堂安に祝福される中島翔哉(C)朝日新聞社
ミャンマー戦前半、先制点を決め堂安に祝福される中島翔哉(C)朝日新聞社

 凄まじい豪雨の中、ヤンゴンのトゥウンナ・スタジアムで10日に行われたミャンマー戦。過去のワールドカップ予選初陣では毎回のように苦戦を強いられてきた日本にとって、2022年カタールワールドカップに向けて好発進を見せることは、森保一監督にとっても選手たちにとっても重要命題だった。

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 試合開始から一方的にボールを支配し、敵陣に攻め込む日本だが、開始5分の南野拓実の決定的シュートが枠を外すなど、嫌なムードも漂いつつあった。その流れをキッパリと断ち切ったのが、前半16分の中島翔哉のテクニカルなループ弾だ。

 冨安健洋からパスを受けたエースナンバー10は左サイドからドリブルで中へ切れ込み、ペナルティエリア手前から右足を一閃。見事にゴールネットを揺らし、喉から手が出るほどほしかった「早い時間帯の先制点」を手に入れる。

 これで落ち着いた日本はこの10分後に堂安律の浮き球のラストパスを南野がヘッドで決めて、2点目をゲット。その後は再三のチャンスを決め切れず、一時はミャンマーの勢いに押されそうになるなど、いくつか課題が残されたものの、環境の難しい敵地での重圧がかかる一戦を2-0で勝利。ロシアで果たせなかったワールドカップ8強に向けて手堅いスタートを切ったと言っていい。

 森保監督はゴールを奪った中島と南野、2点目をアシストした堂安の目に見える働きに心から安堵したことだろう。新体制発足から丸1年。指揮官は2010年南アフリカワールドカップから8年間続いた岡崎慎司、本田圭佑、香川真司の「旧ビッグ3」依存の攻撃からの脱却を図ってきたからだ。代表通算ゴール数50の岡崎、37の本田、31の香川の存在感はやはり絶大で、指揮官もこの1年間には香川と岡崎を呼んだ時期もあった。

 だが、1月のアジアカップで南野と堂安を徹底的に軸に据え続けるなど、日本代表が長年直面していた世代交代という課題を強力に推し進めようという姿勢は色濃く示していた。

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