ヤクルトはシーズン96敗を喫した2017年から、昨年はセ・リーグ2位に躍進したが、今年はここまで借金23を抱えて最下位に逆戻り。来シーズン、新監督を迎えていきなり頂点まで駆け上がるというのは、簡単なことではない。そう考えると、9年間当たり前のように見てきたヤクルトのユニフォーム姿のバレンティンも、今年で見納めになってしまうかもしれない。

「スワローズに愛着はあるし、もちろん話は聞くつもりだけど、あらゆるオファーを検討したい。今はまだ何とも言えないよ。何が自分にとって、家族にとって一番いいのか、時間をかけてじっくり考えるつもりだ」とバレンティンは言う。

 一方、ヤクルトの伊東昭光編成部長はバレンティンとの契約について「シーズンが終わってからですね。年俸(今季推定4億4000万円)もあるし、年齢のこともある。いろいろと考えてオファーしたい」と慎重な姿勢を示している。

 2011年の来日以来、その類まれなパワーと茶目っ気たっぷりの性格で多くの燕党に愛されてきたバレンティン。「来年もヤクルトに残ることを期待しているよ」と言うと、ニヤリと笑って「オレもそう思ってる」と返してきたのはファンにとって救いかもしれないが、実際に来年もヤクルトでプレーするかどうかは現時点では不透明。個人的には残り12試合、その姿を目に焼き付けておきたいと思っている。(文・菊田康彦)

(文中敬称略)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。