それなのに「このタオルをこうやると……」とか「これで電気が発生して発熱します」とか、いやいや、非常事態にそんなことやらないでしょ!と思う。あまりにも難しすぎる方法を教えすぎていませんか? ゼロからオリジナルのものを作ろうとするんじゃなくて、そもそも道具があるんだから、それを手に入れようで良いと思う。

 サバイバルの手前にアウトドアとかキャンプがありますよね。僕もキャンプ好きですが、いまこれだけ流行っているし、安くて使えるグッズもいっぱい出ています。災害時用に2千円のLEDランタンを一つ持っておくと楽ですよとか、キャンプ用の充電器で携帯3~4台分はバッチリですよ、という情報で良いと思う。折り畳みの小さいカセットコンロが一つあれば火は問題も無いし、焚き火台があればガスボンベが無くても拾ってきたもので焚き火するときも安全だし、キャンプ用の調理器具も軽くて良いと思う。テントまで揃えろって言うわけじゃないし、アウトドア用の便利グッズを勧める方が現実的だと僕は思うんです。それを普段から使ったら、プライベートも充実するだろうし。必要なのは、意外と日常からかけ離れたものじゃないと思うんですよね。

 あと今回は、電車が計画運休されて、復旧してもすごい行列ができていたという問題もありましたよね。復旧するにしても鉄道会社とかマスコミはその時間だけじゃなくて、8時に20%、10時に40%とかもっと細かな情報を伝えなきゃいけないのかなとも思いました。インターネットとかも使ってリアルタイムに状況がわかれば、使う人も判断できると思うんですよ。

 だけど、全国放送で関東の交通情報とか電車の復旧状況とかを連日やっているのも、それ以外の地域の人にとっては関係ないことかもしれないなとも思うんですよね。キー局が放送する番組は関東の視聴率が重視されているから、どうしても首都圏の情報に寄ってしまうんだけど、だからといって、まったく報道しないのも違うし。

 このギャップをどう変えていけばいいのか考えると、キー局が作ったものを全国で見るんじゃなくて、その土地、その土地で作ったものを見るのが一番良いんだと思う。連邦制のアメリカは、州によって法律も違ったりするけど、日本の地方活性化も、その地域のニーズをちゃんと満たしていくことだと思うんです。それは情報という意味でも。民放だと全国規模の企業がスポンサーに付かないと、お金が集まらなくてクオリティーが下がってしまうってこともあると思うんですけど。自然災害とか生活に関わる身近な情報は、地域ごとに、現実に近いものができたら良いなと今回の台風で感じました。

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カンニング竹山

カンニング竹山

カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ。単独ライブ 「放送禁止2017」が9月21~24日、東京・品川の天王洲銀河劇場で開催(撮影/写真部・小原雄輝)

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